2019年10月31日木曜日

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☆☆☆☆
~埋めがたい断絶~

 
 2016年の1クールテレビアニメ。全13話で描く高校生グループの恋愛を中心とした物語。
 心を閉ざした転校生が徐々に仲間と絆を結んでいく過程が描かれるが、それをドラマチックにしているのが「未来から届いた手紙」という設定。
 迫り来る悲劇とそれを回避するための行動。手紙自体への疑心暗鬼も重なって、対策は上手く進まない――。

 あまり良い意味ではない、侮蔑の色が濃い言葉として「少女マンガだな」と思ってしまった。
 曰く恋愛に全てを賭け、その対象以外にはどこまでも無頓着にひどいことが出来る主人公。それを許し包み込む菩薩のような二枚目。それ以外のつじつまは知らん! と断ち切る強さ。
 どうにも共感できない独特の世界観が徹底されており、そうだね、言葉を選ばずにいえば、ばかばかしい

 年をとったからなのだろうか。若い頃なら楽しめただろうか?――。否、と思う。
 男だからなのか。これも違うと思う。
 なんかもう、そういう違いを超えた人間社会に対しての軽重の置き所が異なる。年齢でも性別でもない外見では分からない精神の断絶。否定、毛嫌いするような物では無くただただ理解できない。これは絶望的に根が深い。
 正直に、「精神的に理解できないので楽しめなかった」と言っても距離をとられるだけだ。だから、薦められたら見るし、話題になっていたら見る。おもむきを感じない景色を眺めるような、無駄とは思わないが自分にとっては無くても良いのだろう作品。
 関心が湧かないのだ。
 
 キャラクターデザインの結城信輝は「天空のエスカフローネ」「地球へ…」など少女まんが成分の濃いキャラクターを透明感のあるアニメキャラに落とし込んでいく名手。今作もきっちりと雰囲気を保ったアニメキャラになっている。
 演出も手堅く、無理なく静謐な少女まんがの雰囲気を持ち込んでいる。少女まんが独特の空白、間の美学も再現されている。
 いかんせんそうして高い完成度でアニメ化されても、印象は変わらないのだろう。むしろ作画が~、演出が~と戦犯を他に求められない立派なアニメ化なので、逃げ場無く己の無関心を受けとめるしかなく、なんだか辛かった。
 
 性に合わない作品は存在し、それを好きな人もたくさんいるのだな、という自分のズレが心配になってしまう一作だった。
 
 

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