~もはや「96時間」関係ない~
★★☆☆☆
2014年のアクション映画。米仏制作。2008年の『96時間』。2012年の『96時間/リベンジ』に続く三作目で、おそらく最終作。
邦題の「96時間」は誘拐事件被害者の生存可能性が高いといわれる制限時間のことで、一作目はどんぴしゃだが、二作目三作目は誘拐主体では無いので苦しい。そもそもシリーズの原題は「taken」であり、捉えられたとか奪取された、という意味だろう。
制作リュック・ベッソン、監督オリヴィエ・メガトンで二作目と同じ布陣。ということは……。
元CIA工作員であるブライアンが、家族を守るためになまはげの如き孤軍奮闘を続けるのがテーマ(ほんまか?)のこのシリーズ。一作目は「娘を守るため」という中心軸でまとまった佳作だったが、二作目は「襲われたので家族と生き延びる」とぼやけてしまった。三作目はどうなるのか――。
なんと娘の妊娠発覚という一作目から見ているものにとってはそれなりにショッキングだが本作には必要ないだろうという要素からはじまり、さらに序盤に元妻レノーアが死んでしまう。その罪状をなすりつけられた主人公は、警察から逃げながら犯人をとっちめるためになまはげと化す。
いやはやまさかもう家族を守れない状況からの復讐ものになるとは思わなかったが、二作目よりは目的がはっきりしている。アクションシーンでは最後の飛行機への特攻シーンなど見所も多く楽しむことが出来る。
それ以外については寄り道的なシーンが多く、敵も味方もその判断は無いだろうと突っ込みたくなる展開が多い。頭を空っぽにして楽しめれば良いものを、無理して知的にしようとしたのか程度の低い陰謀がよく分からない展開へと導き、反対に常にバカっぽいなと感じる始末。
シリーズ的に気になるのは一作目で良い役割を果たした元妻の再婚相手がこんな人物だったっけという点と、娘の彼氏が二作目と違う点。再婚相手についてはちょっと没落しすぎだろと思うし、彼については二作目ラストで家族になりましたみたいな雰囲気だったのに……と残念。
二作目よりは楽しむことが出来たが、一作目にあったような軸を失ったままなので迷走具合がものすごい。続編が無いというのも致し方ない。
いっそ毎回娘がさらわれるというお約束の世界(ピーチ姫がさらわれるマリオみたい)に突入していた方が良かったのではないだろうか。
終盤のなまはげ感は結構ある。
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関連作のリンク。
◆シリーズ第1作『96時間』 の自分の感想はこちら。
◆シリーズ第2作『96時間/リベンジ』 の自分の感想はこちら。
~失われた「なまはげ」感~
★★☆☆☆
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