2021年4月28日水曜日

LOOP/ループ-時に囚われた男-

LOOP ループ 時に囚われた男 [レンタル落ち] 

~だまし絵のようなタイムリープ~
★★☆☆☆


 2016年のハンガリー映画。日本では劇場未公開なので情報が少ないが、ネット配信されているので視聴者はそこそこ居る模様。
 

 病院からの薬品横流し運搬役のアダム。ボスを裏切って薬品を横取り、高飛びして大金を稼ごうと画策するが、恋人アンナはそれを拒む。
 動き出した計画とアンナとの狭間で懊悩するアダムは1本のビデオを手に入れる。そこにはボスに銃殺される自分の姿が映っていた――。

2021年4月22日木曜日

リグレッション

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~アメナーバル監督の真骨頂~
★★★★


 2015年。アメリカ・カナダ・スペインの映画。スペインは珍しいなと思うがそれは監督がスペインが誇るアレハンドロ・アメナーバルなのだからしかり。
 
 自分はアメナーバル監督の作品が好きである。初めて出会ったのが長編デビューの『テシス』。続く『オープン・ユア・アイズ』と『アザーズ』まではサスペンス映画であり自分にとっては打率10割。続く『地獄からの手紙』では文芸調になり、『アレクサンドリア』は歴史スペクタクル。どんなジャンルでもかっちりと高いクオリティを維持するその手腕に感嘆するが、自分はサスペンスのアメナーバル監督が一番好きだ。
 
 そして『リグレッション』。久々のサスペンスである。ちらちらと前評判を見るとあまり好意的な意見が無いようだったので見るのが怖く、なんだかんだと後回しにしていたのだが、とうとう機会を得て鑑賞した。

 1990年。アメリカでは悪魔崇拝者による儀式的虐待や殺人の暴露が社会秩序を揺るがす大きな問題となっていた。
 ミネソタ州の刑事ケナー(イーサン・ホーク)は17才の少女アンジェラ(エマ・ワトソン)による父親の虐待告発を担当。その陰惨な内容はまさに悪魔的な儀式の様相を呈していたが告発された父親にはその記憶が残っていない。優秀な心理学者レインズによる退行催眠によって引き出された証言には、同僚の警察官ジョージの関与が示唆されていた――。

スノーピアサー

スノーピアサーBlu-ray

~寓意を優先しすぎてる~
★★☆☆☆


 2013年のSF寓話映画。アメリカ合衆国・フランス・韓国製作。監督は『パラサイト』でアカデミー賞を取ったポン・ジュノ。

2031年。世界は地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品CW-7によってすべての陸地が雪と氷に覆われ、極寒に耐えられない生物は死に絶えてしまった。生き残ったわずかな人類は永久機関によって動き続ける列車「スノーピアサー」の内部にて暮らしていたが、そこでは前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級のカーティスは自分たちを苦しめる理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と共に反乱を企てる。 <WIKIPEDIAより>
 物語を楽しんでもらうことではなく、寓意を押し付けるのが目的になってしまっている印象。そのためエンターテインメントとしてバランスを崩してしまっており寓意の先に思いを馳せることは出来ても、おもしろい映画とはとても言えない。
 雪の中を一直線に走り続ける列車はそのまま資本主義社会の自転車操業っぷりを表しており、止まることなく地球を周回し続ける有り様はまさにそれ。列車の中でひしめく人間達は階層化され、管理され、行き先も知れずに刹那的に過ごす。教育の重要性、子供に対する搾取。まさに現代の縮図。イメージとしては魅力十分だが、実際に映像や物語になってみると安っぽく取って付けたようなちぐはぐ感が強い。

 気になった点と、改善する方策を考えてみる。
 

2021年4月21日水曜日

禍つヴァールハイト -ZUERST-

 ◆◆◆300回目のご挨拶◆◆◆

 この投稿がこのブログの300目の記事となります。
 まだ300かという気も、結構書いたなという気も。
 このようなwebの端っこの文章を読んでくださる方、本当にありがとうございます。これからも継続して行きたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。

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~狂気を引き寄せる呪われた作品~
☆☆☆☆

 2020年のワンクールアニメシリーズ。全12話。「KLab」がサービスしていた(2021年にサービス終了)スマホゲームを原作としている。「禍つ」は「まがつ」と読む。「ZUERST」はドイツ語で「最初の」を意味する模様。英語の「fast」かな。どうやらゲームの前日談を描いているらしい。

 自動車と魔法、重火器と剣、謎のモンスターと人々を死に至らしめる「フリーレンの炎」という災害が存在する世界。
 帝国議会は治安維持のため武器の民間への供給を違法化。だがモンスターに対抗するためには武器が必要であり、武器密輸組織が結成されることになる。帝国軍人としての一歩を踏み出したレオカディオは偶然輸送業で働くイヌマエルと知り合う。イヌマエルは実直な労働者であったが密輸組織の手違いに巻き込まれ、お尋ね者になってしまう。


 序盤あらすじを書きながら、その行為に虚無を感じている。
 映像として生まれたからには、誰が、どこで、何をしたのかは伝わらなければならないが、本作にはそれが欠けている。何となく誰かが、おそらくそのあたりで、こういったことをしたのだろう。そういったあやふやな状態が徹頭徹尾継続され、確かに何かが起こっているのだが、何かはよく分からないま全12話を終えることとなる。
 人をいらつかせる手法として、意味の分からない言葉をまくし立てるというものがあるらしい。捕虜となった特殊部隊員は、なにがしかの言語に聞こえる無意味な音声を発し続けて取調官を挑発、情報取得を困難にさせるというのだ。意味のない言葉だと判断しても、人間の脳はそれを解読しようと働いてしまい、思考を圧迫していくのだろう。本作は、まさにそれである。
 
 きちんと鑑賞したら、頭がおかしくなる作品。
 呪われた作品だといって良いかもしれない。
 そんな作品を、なぜ自分は最後まで見たのか?