2020年8月17日月曜日

ホワイトハウスの陰謀

ホワイトハウスの陰謀 [DVD]
 ※Amazonの商品リンクです。

★★★☆☆
~信念に基づいた各人の行動~

 1997年の米映画。ホワイトハウスを舞台とした殺人事件解決アクション。
 

 米兵が北朝鮮に拉致され、政府の対応を巡って内外でさまざまなぶつかり合いが生じている緊迫した事態の中、ホワイトハウス内で女性職員が刺殺されるという事件が発生。捜査担当として現場たたき上げのリージス刑事が派遣されるが、シークレットサービスは証拠を故意に隠蔽。状況証拠からルームクリーニングの男性が逮捕されてしまう。真犯人を捕らえるためにリージスの奮闘が開始されるが、誰が味方で敵なのか、ホワイトハウス周辺の権謀術数に巻き込まれていく――。

 原題は『Murder at 1600』。1600はホワイトハウスの番地のことで米国人ならパッと分かるのだろうか? そうでもないような気がする。主人公リージスを演じるウェズリー・スナイプスは映画『ブレイド』で有名。今作でも小気味よい体の動きで目を引く。1997年の作品だが今見ても古くささは感じない。というか、北朝鮮との関係は四半世紀たっても大して変わってないのだなあと思う。ホワイトハウスという歴史的建造物を舞台にしていることも古びない一因だろう。すでに古いから、これ以上古びないのだ。こういうレトロ感をあまり感じさせない中にあって、唯一強烈に時代感を押し出すのがVHSのビデオテープ。結構重要な証拠として使用されており、前面に押し出されてくるので目につくというのもあるが、使用したことのない人にはどのように映っているのだろうか。


 本作で印象的なのは敵が誰なのかが判然としない状態での物語進行。リージスは同僚数名しか信頼できる仲間がおらず彼らも途中で脱落していく。周囲の全てが敵の状況なのだが、敵全体が一枚岩なのか、複数勢力なのか、どこで切り分けられているのかがなかなか分からないのが面白い。追っても追ってもたどり着かない蜃気楼のような敵に対して諦めることなく突き進む姿は、分かりやすく魅力的だ。
 テンポ良く状況が移り変わり、その中で緩急も適切に。決まり切ったロマンスは香り程度に止めて、あくまで自分の信念を貫いていく。主人公以外もおのおのの信念を持って行動している事が感じられ、敵にも一定の敬意を払いたくなる。
 バディ刑事物として非常に楽しめるエンターテインメント映画。

0 件のコメント:

コメントを投稿