2010年9月21日火曜日

アリス イン ワンダーランド



~チェシャ猫ふわふわ~
★★★☆☆

ジョニーデップとティム・バートン。おなじみのコンビが描く、狂気と耽美の映像美学。2010年公開。シャッター方式の3D上映で鑑賞。

3D映画をみるのは4作目だったが、びっくり映画でもなくただのうたい文句でもないきちんとした3D映画。。密度の高い画面要素にさらに奥行き情報が伴った、しかし情報過多ではない、きちんと設計されている。
なんちゃって3D映画として冷笑の対象となる「タイタンの戦い」をみて、3Dもだめかなあと思った後だったので、ずいぶんと心救われた。

大人になり、結婚適齢期を迎えて己の意に添わぬ事を「仕方がない」と受け入れざるを得ない立場になったアリス。彼女の前に、今再び、懐中時計をたずさえた白いウサギが現れる。しかし再び訪れた不思議の国は、かつてのワンダーランドではなく、狂った世界(アンダーランド)になり果てていた。

ここまで前置きを聞いて、興味を引かれぬはずもない。今作は世界で記録的なヒットを記録し、ティム・バートン監督の最大のヒット作になったという。
みてみると、それにも納得。この映画楽しいよ。

もともとティム・バートン監督の真骨頂といえば、ハイテンションな登場人物の突飛な言動と、尋常ではないが統一感のある世界表現。考えてみればアリスほどこの監督に適した題材は無いのではないか。
独特の世界観を持った原作の上に、さらにいびつな妄想が積み重ねられて、アリスが再訪した世界は、まさに狂気の世界。もともと強烈な登場人物の個性がさらに際だち、物語が存在しなかったとしても、紀行物として十分に楽しむことが出来そうだ。

そして今回、物語も気持ちがいい。
大人になろうとしているアリスが、アリスであり続けながら大人になるために必要だった心の旅。それがこの物語だ。
不思議の国のあれこれは、そのまま現実の寓意として直結しており、アリスはそれらを自分の中に消化して、新しい物語へと旅立っていく。細かな理屈は必要なく、ただ気持ちとして納得できる。

心技体のそろった、バランスの良い作品だ。

蛇足だが、チェシャ猫がかわいくてたまらない。
ふわふわ浮いて、好き勝手に姿を消す笑い顔。
猫バスに似すぎだとの意見もあるが、柔らかそうな毛並みは3Dとなって魅力満点だ。

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