2022年に公開。言わずと知れたレジェンド漫画『ドラゴンボール』のアニメーション映画。
漫画で描かれた以降のドラゴンボールは連綿と描き続けられており、原作を核として続編漫画(作者は別)、アニメ、ゲームとかなり自由自在に伸び盛っている。
映画は今作でなんと21作目。最近の作品では原作者『鳥山明』の関わりが増え、彼の才能なのか、現場のモチベーションアップなのかやはり作品の魅力が増していると感じる。さすが。
息子と二人見に行った。8才の息子はほぼドラゴンボール未体験であるが、友達がスマホのゲームで遊んでいるのを知っていたり、名前や何となくの雰囲気くらいは知っている。どうなるものかと思ったが、最後まできっちり楽しむことが出来たようで、これだけでもきちんとつくられた良作であると言えるだろう。
息子が認めたから、というのではなく、前提が複雑でそれを理解しなければ楽しめなかったり、退屈なシーンが長く続きすぎたりすると、素直な物で彼は全く視聴意欲を無くしごそごそし始めるのであるが、様々に突っ込みや歓声を上げながら(声が大きすぎるくらい)、夢中になっていた。
自分が作品として気にしていたのは、全編3DCGでつくられている、ということ。
これが全く見事で、これまでの2D作品と違和感が全くない。むしろ調安定したハイクオリティのアニメ作品。言われなければ3DCGだと分からない人も居るのではないだろうか。ダイナミックなアクションシーンでもCGだからと無駄にカメラを動かすような愚策を犯さず、冷める瞬間の無い魅力的な作品になっている。
あえて難を言うなら、3DCGによって全編が安定したが、画面クオリティという点でのメリハリがなくなった、と言えるかも知れない。手書きアニメーションは多数の人の描いた絵をつなぎ合わせてつくられるので、やはりその腕前に差異がある。見せ場のシーンは特に腕の良い原画、動画によってクオリティを上げる、という作品は良くあると思う。超絶作画シーンの突出具合とその輝きという点では、手書きアニメーションの方がより強烈かも知れない。
長い歴史で世界が広がり、キャラクターが膨大となっているドラゴンボールだが、今作では大胆に登場キャラクターを絞りきることに成功。主人公であるはずの悟空やそのライバルベジータさえ本筋に関係の無い幕間キャラとなっており、それなりの見せ場は用意しつつ作品中のアクセントという位置づけ。結果ピッコロと悟飯をきっちり主軸にしたピントの合った展開となった。今作初登場のキャラクターも少なくないのに散らかった印象は無く、新キャラの魅力も十分に描かれている。
ドラゴンボールでは名前の付け方に法則のあるキャラクター群が居るのだが、たとえばブルマ、トランクス、パン(ツ)といった「はくもの」グループ。これに対抗する敵としてDR.ゲロの孫が登場するのだが、名前がDR.ヘド。なるほど「吐くもの」グループというわけでネーミングセンスに脱帽。