★★☆☆☆
~低予算がにじみ出る~
デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ主演のニューヨーク地下鉄を舞台にした犯罪映画。
予算不足なのだろうなあという気遣いをせずにはいられない、苦しいカットが頻出。
地下鉄をジャックする犯人達。その交渉窓口にされてしまった、不運な地下鉄職員。
二人のやりとりで物語は進展していくが、絵的な魅力に薄いため、どうにも没入しにくい。
このお膳立てで、もっとも見栄えのするシーンが、カースタントだという点で腑に落ちない。しかも本筋とは関係ない部分なのである。
列車の暴走シーンも望遠で捕らえたイメージ映像。ヘリを使用した移動シーンでさえ、ストップモーションで雰囲気を出さねばならない始末。
監督やスタッフの苦しい事情が画面からにじみ出てしまっているのが裏寂しい。
物語もどうにも中途半端。交渉を中心にした、犯人と職員の駆け引きが見所かと思えば、全然そのようなものではない。
途中で中途半端にアクションになったり、メロドラマになったり、ふわふわと腰が落ち着かないまま話が進む。
主演二人の演技が映画全体の気品を辛うじて保っているが、それがなければもうテレビドラマと言って良い内容。
が、(おそらくは)低予算や(おそらくは)状況の不利の中で、きちんと努力して、一定の仕事をなし遂げているスタッフの皆さんには、人ごとではない同情と、敬意を表する。
※二人の主演のギャラが圧迫しすぎているのなら、笑えないことこの上ない。
最近とみに感じるが、予算のかかった映画とかからない映画の二極化が激しい気がする。
アクションやラブロマンスといった、ジャンルによっての差ではなく、同じような内容の映画が、方や心配なほど金をかけ、方や気をもむような低予算。
むろん画面から勝手に予算規模を感じ取っているだけなので、なんの裏付けもないが、無茶な予算で無理矢理作らされた映画が増えたように思う。どうにも不幸なことだが、低予算だからこそ、そこでくじけずに仕事する人々の姿も垣間見えて、個人的には嫌いではない。