2009年10月4日日曜日

名探偵コナン~漆黒の追跡者~


★★★☆☆
~探偵はつらいよ~

なんとネットで間違えて予約。
しかも公開初日のスーパーレイトショー。
子供向けの作品。こんな時間にいっても大して人はいないだろう。
このような縁もあるかと見に行った。

驚いたことに、席は半分以上埋まっており、他の大作でも深夜ではそうそうない人入りだ。子供連れではない。大人の、しかも落ち着いた夫婦といった人が多かった。
長期連載。定期的な映画新作。なるほど、名探偵コナンは年齢層を違えた「男はつらいよ」なのだ。

漫画で切れ切れの情報は知っていたので理解に苦しむ点はなかった。
人物配置も昔も変わらないし、シリーズを通しての謎は謎のままだ。いや、むしろ連載当初から何も変わっていないのではないだろうか。

作品はお約束に満ちあふれ、正直新参には辛い物だった。
事件の謎も、そもそも謎なのかどうかも分からない曖昧さ。推理の必要性が感じられない。トリックがあるのか無いのか分からない。
そんな状況で、コナン君が突然天啓を受けて謎解きを始める。その謎解きも、お約束と思わなければ失笑物だ。コナン君が悩んだり、意気揚々話すことでああ、謎があるんだ。ああ、それが解けたんだと記号化している。

全編、雲を巻くようなごまかしが多い。

この感触は、やはり子供向けの漫画やアニメと同様だ。
けして悪いことではなく、自分もそういった物を楽しんできた。ただ、大人がきちんと見るものではない。
コナン君の問題は、大人子供どっちつかずのところだと思う。
それは、実際に物語の主人公がそういった設定であることもそうだが、作品のイメージ自体が特にどっちつかずだ。

難しい言葉。多い台詞。子供の動機。子供のトリック。

自分がどちらの立場で見ればいいのか分からず、どうにも傍観者だった。
しかしこれは背伸びしたい子供、息を抜きたい大人にぴったりだとも言える。そしてそういった層は、なるほど、少なくなさそうだ。

ニーズのあるところに、適切な作品が提供される。
これはこれでいいのだろう。
やはり、寅さんなのだ。
作品としては矢継ぎ早の状況変化。見栄えするシーンのバランス良い配置、と慣熟した職人芸。作画も高レベルで安定し、さすがは歴史を重ねたシリーズ。
自分には分からなかったが、ファン受けする定番要素も各種あった様子で、教科書通りの長寿作品と言ったところか。

さて、以降これまでに増して個人的な感想だが、どうにも一言いわずにいられない。

コナン君は、卑怯すぎる。

情報を引き出すときはバブバブと猫なで声。内心は利己的な算段。
極悪なぶりっこっぷりが、胸くそ悪くなる。コナンは自分以外の人間を無知蒙昧として見下しているのではないか。そうでなくてはあのように矜持無い行動がとれるはずがない。正直、生理的な嫌悪感を感じる。きもいのだ。
強烈な臭みは代わりがない魅力にもなる。慣れればこの嫌悪感も楽しくなってくるかもしれないが、無理にその道を行くこともない。

またチケットの買い間違いをするまで、続いてくれるだろうか。

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