2009年6月11日木曜日

トランスフォーマー

 

★★★★★

~映像の力ですべてを駆逐~
CMやコピーは「地球はすでに侵略されていた」みたいな感じで、宇宙人の侵略系映画として売ろうとしているが、それは間違い。
正しいコピーは、
「変形(トランスフォーム)かっちょいい!」
もうこれがすべてで、これだけで星五つ。
話はばかばかしく、つじつまも合っていません。人情もばらばらで、どうにもまとまりません。不必要だと思える人物、シーン満載で、適切なカットで30分は短くできます。

このようなダメ要素満載にもかかわらず、それらすべてを覆す力業を披露しているのが、変形シーン、並びにロボットアクションシーンの強烈なインパクトと魅力。
思えば、物体を輪郭ではなく立体でとらえるのが西欧文明だと言われますが、確かにこれまでの洋画に出てくるロボットは基本的に骨格標本のようなタイプばかりです。もしくは油圧パイプが重機をイメージさせる、兵器系。
・ショートサーキット
・ターミネーター
・エイリアン2
・マトリクスレボリューション
この辺りのロボットを想像すれば分かりやすいでしょう。
ひるがえって、日本のロボットといえば、外見のデザインありき。外骨格です。
この違いは、西欧では写実が発展し、日本ではデフォルメした芸術が進展したことと同義です。
ところがトランスフォーマーは元は日本初の玩具とともに生み出されたアニメ。そのデザインを尊重する限り、バリバリのハリウッドなのに「外骨格」の雰囲気をとどめているのです。
もとより、商業主義、ご都合主義によりすぎだと言われるハリウッドですが、最強国家米国の心の拠り所たる文化産業。プロフェッショナルな仕事ぶりは追随を許しません。最先端の技術と最高の人材が作り上げた、日本デザインのロボット映画!
これは今のところ、唯一無二でしょう。
(ガンダムが米国で実写映画化されていましたが、あれはあちらのインディーズみたいなものだと思っています。)

従って、そのコンボイ司令(米国では違う名前になっていますが)の勇姿たるや、心震えずにはいられない、まさにイデアの実写化。
おそらくもうしばらくすれば、この驚異の映像でさえ、相対化され、通常のクオリティとして埋没していくでしょう。だからこそ、陳腐化しない今のうちにみておく一本だと思います。

……ところで、コンボイはフォルムこそ外骨格ですが、その内側には例によって筋骨組み込まれた米国テイストです。それ以外のトランスフォーマー達は、そもそもどちらかと言えば内骨格に近く、米国の趣味嗜好が変わったというわけではないようです。

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