★★★★☆
~1・2作合わせての作品~
一作目はこの二作目の前振りだったのか! と驚くほど面白い。
敵役のエピソード、ヒロインとのエピソード、ヒーローの過去にまつわるエピソード――。一作目で描かれた断片が焦点を合わせるクライマックス。そして失意と復活。
二時間半と長い映画ではあるが、盛りだくさんの要素をきちんと消化して一作の中に折りたたむ手腕は見事としかいいようがない。
特に最後の下り、長い年月が流れ、それとともに変化する
ピーター・パーカーの心と分岐点が描かれる部分。映画の終盤であり、下手にやるとそれまでのドラマを全て薄っぺらにしてしまう危険がある。これを必要最低限の時間で秀逸に演出している。
特にラストシーンはとてつもなく尻切れトンボなのだが、ここまで見てきた観客にはその後のシーンが目に浮かぶ。
描かず、余韻と想像力で潔く終わるこの形は盛りだくさんだった映画の後味をきりっと引き締めて、ああ面白かったと思わせてくれる。フルコースの後のフルーツシャーベットのようなもの。
映像的にも高速で移動しながらの戦闘シーンは3D効果と相まって
インフレの行き着いたような迫力。そもそも今回のメイン敵役エレクトロは自身を電気に変えて自在に移動、攻撃するというとてつもない能力の持ち主。一昔前なら不可能だったろうその戦闘シーンは、
イマジネーションさえあれば、どのような映像も作り得る現在の映像魔術の粋を感じさせてくれる。
最後には次回作への引きも用意され、四作目までの製作が決定しているというが、一二作目が二つで一つであるように三四作もそういったくくりなのかも知れない。そうすると三作目のテンションは下がるだろうか……。楽しみ。
※残念ながらこのシリーズ続編はその後キャンセルされ、またリブートされる流れに……。会社の都合で振り回されるコンテンツであるが、それだけ根強い人気があるということなのだろう。
エンドロール中に、なぜか少し遅れて公開の「Xメン future&past」の宣伝が差し込まれる。同じマーベル原作だが、映画化権利者が異なっているスパイダーマンとXメン。まさかのコラボレーションかと思ったら、
政治的な駆け引きの生んだただの宣伝行為だということ。むやみに期待をあおるのはやめて欲しいしものだ。