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~一緒に変わってきてくれた~
延期に継ぐ延期を経て、ようやく今日2021年3月8日に公開されたシン・エヴァンゲリオン。新劇場版四部作の最終となる作品を先程みてきた。
パンフレット含めて他の情報が入る前に、自分のファーストインプレッションをネタバレにならないよう書いておこうと思う。様々な考察を経ての感想は、また書く機会があるだろう。
・とても良い幕引きだった
三作目の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」は非常にショッキングな内容で、ファンにとっては辛い内容だった。状況として墜ちきった形で終幕するため、いったいこの後どうなるのかと、評価を宙に浮かされたまま8年。この風呂敷を綺麗に畳むことはもはや出来ないだろうと思っていたが、これ以外は望めないだろうという形に至った終劇だった。
特に各キャラクターの結末について、皆がきちんと幸せになる道筋を見いだせた点が嬉しい。
振り返ると今作の着地点は『序』から積み上げられている物で、長い雌伏お見事です。
・Qがあってこそ
Qがあってこその今作になっている。闇が深いほど、夜明けのコントラストは凄まじい。
※ただ8年はタメには長すぎるよね……。
・古いファンにとても誠実な内容
TV版は26年前の作品となり、まさに四半世紀が経過している。今作は、その長い時間をシリーズと一緒に過ごしてきた視聴者に、とても誠実な内容になっている。
自分(庵野監督)の葛藤をさらけ出したような生々しい感触がエヴァらしさの一端だと感じているが、つまり庵野氏も同じく長い時間をかけてシリーズに向き合ってきている。当時感じていたことが、時代を過ごして変わる事もあるだろう。むしろ変容していくことが当たり前だ。
今作は、長い期間における作り手の変化を素直に認め、丁寧に総括している。同じく長い時間をかけて変容してきた受け手にとって、一緒に歩いてきた作品だと、強く感じさせてくれるのだ。
みんな大人になったねと、作り手、受け手、キャラクターによる幸せな同窓会であり、これからも生きていこうと互いに肩をたたき合う感触。
・旧劇場版「Air / まごころを、君に」をもう一度見たくなる
テーマや描きたいことは旧劇、そしてテレビ版から同じで、驚くほどぶれていない。ただ、過去作はテーマを示す方法、見せ方が、子供っぽく強引で共感を得にくかったと思う。
時を経てそれが整い、とても分かりやすく、優しい心根で展開されているのが今作だ。
だからもう一度「Air / まごころを、君に」を見てみたいと思った。きっと昔と違う見え方がするだろう。