2021年7月15日木曜日

聖戦士ダンバイン 総集編三部作


★★★☆☆
~記憶していたよりハードな物語~


 1983年のTVアニメシリーズを1988年に全三巻にまとめた総集編。各巻1時間弱なので全49話(ざっと16時間)をだいたい6分の1に圧縮していることになる。監督は『機動戦士ガンダム』の 富野由悠季。キャラクターデザインは『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』の湖川友謙。
 

 精霊や妖精が存在し、オーラの力で機械を駆動させる世界、バイストン・ウェル。
 海と大地の狭間に存在するといわれるその世界はオーラ・ロードによって現実世界と接続されており、そこに住む者を「地上人」と呼んでいた。
 地上人はバイストン・ウェルの人々に比べてオーラの力が強いため、バイストン・ウェルの領主、国王たちは己の勢力を拡大するための戦力として地上人を召喚し、相争っていた。
 主人公ショウ・ザマは日本で暮らす青年であったがバイクで失踪中にバイストン・ウェルに召喚。オーラ力(ちから)で駆動する人型兵器、オーラバトラーの搭乗員として戦渦に巻き込まれていく。

 
 聖戦士ダンバインは玩具会社がおもちゃ販売を前提にスポンサーしていたアニメーションなのだが、『宇宙の戦士』の宮武一貴によるデザインは子供受け、一般受けはしにくい物だった。巨大な虫(というより巨獣)の甲殻を外装としているという設定に合わせてデザインされたオーラバトラーは直線が極端に少ない生物的なフォルムをしており、足先は巨大な爪として構成、飛翔用の羽根もトンボのような雰囲気とかなり攻めている。
 おもちゃ類の販売は難航し、途中スポンサーの変更があったりと打ち切りの憂き目にも遭いながら何とか完走した作品とのこと。だがこの唯一無二のデザインは時が立っても陳腐化すること無く、逆に時が立つほど他の幾多の作品の中にあって輝きを放つ。今回視聴して改めてその格好良さを再認識させられた。
 
 やはり総集編ではあらすじを追うくらいしか出来ず、幾多の勢力、数多の人物が理解できないまま現れ、消えていく。それでもとっ散らからずに本筋は追っていけるのだから、総集編としては良くまとまっていると言えるだろう。