2011年2月19日土曜日

ナルニア国物語 第3章アスラン王と魔法の島



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★★☆☆☆
~色々苦しい~ 

児童向けファンタジーの草分け第三弾。
試写会にあたったのでいそいそと出かけてきた。
一章は見たが、二章は未見。

シリーズ初の3Dを売りにしているが、その出来はあまり良くない。
立体感が奇妙に感じるシーンが多く、どうやらこれは後付けの3Dではないか。おそらくCG部分やエフェクトはきっちり3Dで作っている。だが実写撮影は通常のカメラで行われ、後処理で3D情報を付加してほかの要素と合成しているのではないだろうか。
その後処理がうまく行っている部分は良いのだが、ラスト直前の人物アップで鼻の回り全体がずれて隆起したように感じる所など、おかしい部分は明らかにおかしい。
「クラッシュ・オブ・タイタン」よりも遙かに良い3D映像ではあるが、どうにもあらが見えて没入の妨げとなっている。

物語はどうにも説教臭く、また、特定の方向性を感じる。いわく、キリスト教の説話っぽいのだ。なにがなにを象徴しているのかを考えることも出来そうだが、そこまでの興味を覚えない。
登場人物の心情はどうにもつぎはぎで一貫性がなく、エピソードを羅列しただけの印象。二章を見ていないから、というだけではないちぐはぐ具合を感じた。
そもそも旅の目的が曖昧。どこになにをしに行くのかどうにも判然としないまま「純粋な悪」を倒せとか言われて失笑。

失笑といえば狂人の表現に余念がない。この物語でもっとも醜く、嫌悪を感じたのは使命感をもった貴人が恐怖に奇人になり果てた姿だ。これがもうびっくりするほどのネガティブ大活躍で、あまりの働きに爆笑した。
これなどは使命を諦めた、堕落した人物への恣意的な罰を描いたのかと勘ぐってしまう。

ほとんど唯一と言って良いくらい心和むのが、人語をしゃべるネズミ剣士だ。ネズミというより寸詰まりのフェレットのていだが、その躍動感と愛らしさ、毛のもふもふした感じなど見ていて前のめりになってしまう。同様にしゃべるライオンも出てくるが、たてがみの美しさに手を伸ばしたくなる。3D映画だしね。

見終わった後ポスターを見ると、売り方も苦しい。ほとんど登場しない端役が大きな面積を締めているのに気がつく。同様に児童ファンタジーの映画化「ライラの冒険」は続編の噂を聞かないので、それに比べ続編が出るだけの人気はあるのだろう。試写会は子供連れが非常に多かったが、話は分からずともネズミ剣士は人気があるようだった。 

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