★★☆☆☆
~異なる感想~
ながらくの間、この作品は自分の中でもっとも憎むべき映画の一つだった。
ドラマから映画化された邦画のように、お約束で、薄っぺらで、お涙頂戴で。このような作品がヒット作に名を連ねる事に、おもしろかったと抜かす回りの人間に、映画という文化を侮辱されたようで腹が立ったものだ。
この自分の反応は独りよがりで、矮小なものだったと思う。
テレビでやっていたので、録画して見てみたが、素直に楽しむことが出来た。分かりやすさ、程良い力の抜け具合。これはこれで映画の一翼を担う分野だろう。あのころの自分は、古い、評価の定まった名画のおもしろさにようやく気がついたところで、そのような作品が多くの人の目にさえ入らない状況と、時流に乗っただけの最新映画に世が傾倒している事が、不条理に思えて仕方なかったのだ。
「好きな映画にアルマゲドンをあげる奴は、はっきりと敵だ」と公言していた。今もその時の自分の気持ちは分かるし、その一片は胸にあるままだが、偏った意見だったと思う。
今回見てつくづく感じたのは、テレビの放送枠に収めるために行われる編集の切なさ。
アルマゲドンはもともと151分の長編なのに、放送枠で二時間弱まで切り詰められていた。CMをさっ引いた実際の放送時間では100分がいいところだろう。三分の一を削除するなど通常不可能だが、何とか意味が分かり、楽しめる形に編集されていた。切り詰め作業担当者の苦労はいかばかりか。
まあもともと悠長で潔くない編集だったので、テンポがよくなったとも言えるが、これはさすがに切り詰めすぎだ。大ヒットしたテーマ曲に乗せて盛り上がるシーンさえ細切れにされている。あまりに短くなったため、曲の印象が残らないほどだ。
物語を伝えるためのシーンにどうしても時間が必要だったのだろうが、この映画の見せ所が摘まれていると、何のための編集なのだろうと言いたくなる。
無料で見ているものに文句を付けるのも傲慢だろう。ただ、この作品と初めて出会うのがこの放送という人も多いと思う。そう考えると制作者の意図と異なる編集を施されたのに、同じ名前を冠ぜられている作品が不憫にさえ思えてくるのだ。
それも含めて、気軽なテレビ放送映画ということか。映画館、DVD、有料チャンネル。映画を見る方法はたくさんあって、それぞれに特徴がある。
そこまで含めて、映画の楽しみ方、なのだろう。
だがしかし、「ノンカット放送」といった宣伝をするならば、同様にどの程度の分数カットしたのかという情報を、公平にアナウンスして欲しいものだ。
おまけのようになってしまったが、ヒットメイカー、ブラッカイマーがプロデュースした本作は、細かいつっこみを無視した勢いの良さ。最後まで力押ししようとする潔さ。馬鹿馬鹿しくも手に汗握る大冒険を味わえる。今見ると、いっそすがすがしい。
予定調和といわれようが、あまりに短絡といわれようが、そのように作ったのだから当然だ。
生ビール片手にプロレスを見るような、気楽におおらかに楽しめる、開けっぴろげな雰囲気が心地よい。