2010年10月29日金曜日

踊る大捜査線3

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! スタンダード・エディション [Blu-ray]

~感性変化の7年リトマス~
★★☆☆☆

人気ドラマシリーズの映画第三作。
一作目二作目はともに邦画史上に残る大ヒットとなったため、今作も期待が高かったが、残念ながら興行成績は低いものとなった。といってもけた外れの前二作と比べてというだけで、弩級のヒット作となったことに変わりはない。

前作から7年を経て、久しぶりに登板したこの映画にどのようなものを期待して見に行くかによって、評価は大きく変わるだろう。

思うに、前作公開時もう大人(映画の審美眼的に)だった人にとって、今作はああ懐かしいと感じるノスタルジックな映画だろう。これこれ、このノリ。この馬鹿馬鹿しさ! といった具合だ。
前作公開時にまだ幼かった(映画の審美眼的に)人にとっては、前作よりはるかにランクの落ちる、擁護しようのない駄作と映るだろう。

この作品は、前作と何も変わっていないのだ。

質も、テイストも、時間経過を無視してまるで同じ。7年前に作られたものが凍結保存されていて、それが解凍されて出てきたような。
だから観る者は7年前の自分の感性がどのように変化しているかを知る手がかりとして、今作を鑑賞してみるのもおもしろいだろう。

占い程度に、判定を書きつづれば以下となる。

前作より退屈だと感じるなら、それはあなたが幾多の経験により大人になったという事だ。単純な物語や、内側を向いたネタの数々に、子供っぽい完成度の低さを感じ取ったのだろう。これまでは食指を動かさなかったような、多少ヘビーな映画にも目を向けてみるといい。

前作ままだと感じるなら、あなたは自分の感性を保つことに成功した。時間でたやすく変わらない、きちんと重石のついた判断基準を持っていたということだ。その感性に沿って今後も映画を楽しむことはもちろん、範囲外に目を向けて感性をさらに強固なものに鍛え上げてはどうだろう。

前作よりも楽しめたのなら、あなたは解放されたのかも知れない。映画の価値は映画の内容だけで決まるものではないと、複数の判断軸を得たのだろう。ネームバリューの高い作品を。きちんと盛り上げて公開することは、産業としての映画を守ることだ。その困難や、努力を思いやれる余裕ができたのかも知れない。
今後もこだわりなく多くの作品と接することで、これまで見てきた作品達が異なる意味合いをもって蘇るだろう。

さて

作品に対する絶対評価を心がけるなら、少しお金のかかったテレビドラマ、程度の出来だ。
ファンアイテムの域を出ず、これまでの作品群を見ていない人に勧めることは出来ない。もしくは織田裕二を筆頭とした出演陣いずれかのファンであるなど、前提をクリアしないと楽しむことは難しいだろう。

署内に出てくる動物。
打ち壊し一揆のように扉をゴンゴンとたたく姿。

知らない人が観たらどこまでも寒く、もしくは一周してシュールな笑いを生み出す極寒の北極映画だ。

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