★☆☆☆☆
~狂人が作り狂人が支えた敵性作品~
別冊少年マガジンに連載中(2021年1月現在)の漫画を原作としたテレビアニメーション。第一期12話。
異世界転生とデス・ゲームを組み合わせた作品で、「奥浩哉」氏の漫画「GANTZ」の影響が強いだろう。
人間嫌いの中学生四谷友助はある日の放課後、唐突に異世界に3人目のプレイヤーとして召喚される。ゲームマスターを名乗る未来人から完全攻略まで残り8周のクエストをクリアするように一方的に告げられた四谷は、クラスメイトの新堂衣宇と箱崎紅末とともにクエストに挑む。単独行動しつつも自分より強い2人を死なせないと奮闘しクエストをクリアする四谷だったが、周回ごとのクリア報酬で最終的に東京でドラゴンと戦わされることを知り、自分が頑張らなければ大嫌いな東京を滅ぼせる可能性に気づく。<WIKIPEDIAより>
見ると時間を損するどころか、世界認識に対して不信を付加することになるので、
避けるべき作品。無人島で一人、見られる作品がこれだけという状況でも、見ないで良い。視聴者を馬鹿にしていると思う。この作品のために「☆ゼロ」の評価を新設しようかと考えさせられたほど。
1カット目で「この作品はだめだろう」と強い確信を得たのは初めて。本当に、こんなこと、ありえない。
誰がどんな判断に基づいたって、新シリーズのワンカット目は重要だ。ファーストインプレッション。初めに感じた印象はその後に長く影響を及ぼすのは自明だ。どんなに台所事情の厳しい作品でも、作品冒頭には細心の注意を払い、なけなしの労力を費やしてクオリティを確保する。ゲーム開発でも序盤には細心の注意を払う。その世界への入口なのだから、無理なく素直に入ってもらえるように丁寧に組み上げる。
今作はその視点において、本当に失敗している。
暗闇の中にずらりと並んだ怪物の目が光るのをパン(カメラの水平移動)するファーストカット。いったいどのような物語が始まるのかと期待する視聴者に、不細工なモンスターをただただ見せつけてどうするのだろう。どうしたかったのだろう。しかも見えてくるモンスターのデザインがおかしい。強いのか弱いのかよく分からない微妙なデザイン。色と体躯的にRPG世界観でよく使用される「ゴブリン」なのかと推察されるが、はっきりしないので非常にモヤモヤする。
他のRPGと同様に既存のモンスターを登場させるのは、説明を省いたり、作品世界に入りやすくする利点を持つが、微妙なデザイン変更を行って共通感を無くすることで、逆に不信と不安を高めている。ここまででこれは相当に厳しい作品だろうと確信する訳だが、さらに畳みかけてくる。
OPが終わったあと本編に入ってみると、
映像が全て「いらすとや」のキャラを切り貼りしたフラッシュアニメになっているのだ。
「いやすとや」は商用まで含めて使用料無料のイラスト配信サイトで、どのような用途にでも使いやすいアクのない絵柄ながらきちんと個性的なイラストが豊富に取りそろえられており、町やネットで見かけない日がないほど定番となっている。このサイトのイラストを使用して第一話丸ごとを作っており、「ワケあり版」などと銘打っている。
どうやら原作漫画で以前漫画自体のいらすとや版が無料公開されたなどの経緯から、今回のアニメーション化に際しても同じプロモーションを行った模様だが、僕はそんなの知らないんですよ! 普通のアニメーション版も違うチャンネルで公開されたようだが、なぜそういった情報を前提に見てくれると思ったのか……。その自信はどこから……。原作ファンで情報を追っていた人だけを対象にしており、自分などの野良視聴者は無視なのだろうか。
腹が立つのが、
この訳あり版、そりゃそうなのだがただのネタで全然おもしろくない。そもそも漫画での訳ありプロモーションは漫画の5巻として行われたようで、いきなり5巻を見る人はそうそういないだろう。4巻までの前置きがあれば、いつものあのキャラがこんな表現に――、といった楽しみ方が可能なのだろうが、アニメの一話目でこれをやったところで、初見の人がどのような感情を抱くのか、全く想像しなかったの?
さらに腹が立つのが、二話~十二話の出来も非常に悪いこと。絵はいらすとやでなくなるが、レイアウトも演出もへたくそで、
変なプロモーションを行う労力を、少しでも本来のクオリティアップに割り振った方が良かったのではないか。
ゴブリンに続いて「トロール」「ガーゴイル」などの定番モンスターも、センスを見せようとして滑ったデザイン。常に不協和音を響かせる。
主人公が5分くらいしか記憶が残らない思い込みの激しいヤンキーといった風情で、その場その場で勝手な思いを御大層に掲げる。一貫性など無い。噴飯物なのが何度も口にされる彼のポリシー。
「いのちは皆平等だ。だから俺は俺より上等ないのちを守るためになら何でもする」 ???。
平等直後に優劣をつける発言。
このような
自分に酔った近視眼の幼稚性がキャラクターの台詞から、物語の運びから、もう全編からにじみ出ている。
本当に! 頭が! おかしい! 狂っている! 狂人が原作を書き、漫画化し、編集し、出版し――。
またさらに狂人が今作をプロデュースしてアニメ化したとしか思えない!
全員狂人! なにより絶望的なのはこの漫画を購入し、人気のあるものとして連載を継続させ、アニメ化につなげた読者諸兄の存在。
きちんと鳴かず飛ばずで1巻に満たず終わらせてあげるのが、読者の良心では無いのか!
作品の欠点をあげつらい、けなし落とすのは間違ったことだと思うが、筆が止まらない。自分はまだ未熟です。
自分が大切にしているものと、全く逆方向のベクトルで作られたように感じてしまっている。これは、自分の持つ価値観に対しての敵性作品だ。 第二期がすでに決まっているとのことだが、自分は決して見ないだろう。