2009年6月30日火曜日

エイリアン3


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☆☆☆☆
~きれいだけど、おもしろくない~

いまや大御所と言っても差し支えのないデビッド・フィンチャーの映画監督デビュー作。初手でこの有名タイトルの続編。大抜擢と言ってよいと思うし、実際定番の映画監督となった今、その判断は間違ってはいなかっただろう。
ただ、残念なことにこのデビュー作は、佳作とも言い難い残念な出来だ。

 

シリーズの設定に頼っているくせに、シリーズの積み上げてきた要素に対しての尊重を感じない。
2であれほど苦労して生き延びた登場人物達が、着陸時に主人公以外全滅。
過去を断ち切って物語を始めたいという事か。続編までの期間があいているし、精一杯の判断だったのかもしれない。
それにしてもその後の展開が平坦なので、見ている方は特に引き込まれることもなく妙な悪意と残酷だけが吹き荒れる画面を冷静に見つめるしかなくなる。
また、1・2で重要な要素であった、弱者を守るために母性で戦う主人公、という枠組みが無い。(ラストのリプリーの抱擁にそれを求めるのは苦しすぎる) 

 

夜の製鉄所のような炎が美しい風景。
アンドロイドの蘇生。
ぬめぬめとした嫌らしい背景の質感。
宗教に傾倒した囚人の労働施設。 

 

各要素や画面には、監督特有の美学、タブーを軽く越える軽快さがあり、その後のセブン、ファイトクラブ、ゲームといった作品の萌芽を感じる事ができるが、今作では要素が個別に屹立しているだけといった印象。 

 

結果、つぎはぎの印象で、物語る手段の映像ではなく、イメージ映像の羅列となる。
ミュージックPVの監督として頭角を現したフィンチャーが、その殻を破り、孵化するのに必要だったのが、この作品なのかもしれない。 

 

 

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