2019年9月19日木曜日

アベンジャーズ  エンドゲーム

★★★★
~よくぞここまで走り抜けた~


前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」のラストを引き継ぐ続編。というか元々は一つだった企画を規模のため二つに変更したとか。

まずこれはお祭映画なのだということ
何年にもわたって公開された、各ヒーロー個別の映画に埋め込んだ物語のカケラを、全て束にして総括する総決算映画!
Marvelの様々なヒーロー、ヴィラン(悪役)たちが一堂に集まって大規模な物語を展開するヒーロー大集合映画!

もうこれだけで胸ときめく。
そんな映画が楽しくないはずは無く、見せ場の連続で一気呵成にたたみ込んでくれるんだろうと期待したら序盤がとてつもなく暗い
前作がとんでもない終わり方(完全敗北)をした状態からの続きなので妥当なのだが、さらに深く陰鬱な方へ掘り込んでいく。
闇落ちする者、飲んだくれる者、生死不明になるもの……。
正直しつこすぎだと思う。
もともと多くの作品をまとめるためにいろいろ突っ込み所のあるシリーズなので、こんな真面目にされても……。
比較的新参者が重要な役割を負って物語を進めているのも感情移入しにくくて序盤は本当に厳しい印象。

お祭映画なのだから、もっと陽気にドッカンドッカンやれば良いと思う。
これまでがそうだったように、細かいことなど気にせずにイマジネーションの可視化によって観客を圧倒してほしい

中盤からは期待通りのいつもの乗りで、物語自体のむりくり具合が気になる前に勢いで突破していく。
話のつじつまで無く、全体の雰囲気を感じながら映像を楽しむのが正しいと思う。

ともかく出し惜しみの無いヒーローの活躍は本当に気持ちが良い

終盤の展開も異様に暗くなるが、戦闘シーンをお腹いっぱい楽しんだ後なので、食後の苦いコーヒーのようにスルーできる。
変に「つづく」とせず、一定のけじめをつけて終了したことに大きな満足感を感じた。

心配なのはこの後の「アベンジャーズ」シリーズの道行きで、また各ヒーロー個別の映画やテレビ番組の後、総決算となりそうであるが、主軸のキャラクターが物語上や、権利関係の都合で離脱を余儀なくされそう。
あと、本当にやりきった感がある。
一緒に完走できて嬉しいが、もう一回初めから走れと言われると、正直もういいかなと言う気分
このシリーズは今作を頂点として規模を縮小して行かざるを得ないだろう。

今作だけのことではないのだが、明らかに最近(現在2019年9月)のディズニー映画は女性キャラの押し出しが強い。
しかもおかしな方向に。
これまでの男性キャラ主体の揺り戻しかと思うが、「スターウォーズ8」「インクレディブルファミリー2」などもやり過ぎのように感じる。
女性キャラの出番の多さが気になるというより、その扱いが変わらず「女性的」なために映画全体の進行が重く、ウェットになっている印象がある。
どうにも色恋沙汰に流れたり、アクション映画なのに女性の社会進出の問題意識が臭いすぎたり、きれいどころはきれいに殴られるだけで汚れ役にならなかったり。
女性にこういった縛りを持たせたままで比重を上げているので、なんだか物語のバランスが崩れてしまっているように感じる。

この点、胸がすくのは韓国映画や香港映画。
女性であろうと美人醜女関係なく、平等に容赦なくボコボコにされる。エロとか性的残酷というのではなく、普通にえげつない。

ともかく、今作は夏の花火の最後の一発。一番大きい尺の大輪が夜空に咲いた作品。
こんな長丁場の仕込みを完遂して公開されたことを、素直にすごいなあ、と思う。


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