2019年9月24日火曜日

ダーリン・イン・ザ・フランキス


★★★★
~露骨なエロで損してる~ 


原作物では無いオリジナルアニメ。全24話。
「キルラキル」などで名を馳せるアニメーション制作会社「トリガー」が中心となって制作される。

荒廃した地上に多数の移動式ドームを設けて生き延びる人類。
襲い来る謎の巨大生物「叫竜(きょうりゅう)」に立ち向かうため、男女ペアでしか動かない巨大兵器「フランクス」を駆る選ばれし子供達。

これだけだと類似多数の印象だが、全てのクオリティが高いので、作品を見れば一目で独自性と吸引力をひしひし感じる。
キャラ、ロボ、世界のデザイン。レイアウト、絵コンテ、演出の手腕。原画動画、効果の作り上げた画面。
絵の力とは、本当にすごいなと感心させられてしまう。
動きのタメ詰めや、カットの切り方、繋ぎ方、キャラクターの細かな仕草など、画面を見ているだけで充分に視聴に耐えうる。

特に自分が気に入ったのはロボットのデザインで、細身の素体の各部位を巨大な装甲で覆うフォルムがメリハリ強く気持ち良い。
永野護の「ファイブスター物語」のゴシックメイドのような様式美も感じられて非常に麗しい。
男女のうち、女性側がロボットと一体化し、それを男性が操縦するという設定なので、ロボットの顔部分に女性の顔(厳密には違うが)が映し出される。
表情を持ったロボットが活き活き動き回る姿はとても気持ち良い体験。
総じて血湧き肉躍る出来の良いアニメーション作品だが、物語としてはいろいろ目についてしまう。
「トップをねらえ2」「エヴァンゲリオン」「グレンラガン」「スタードライバー」など、心に残るたくさんの作品パーツが積み上げられたような物語.
それ自体はぱくりと言うほどのことも無く問題ないのだが、あれこれ入れようとしすぎのような印象をまず受ける。
物語の主要な要素として以下のような大筋があると思う。
※細かく見るとさらに多くありそうだが……。
①<ボーイミーツガール>1~15話
立場が異なり、それぞれ問題を抱える少年少女が出会い、恋に落ちる。
二つの世界が恋という引力ですり合わされることで起こるドラマ。
主に主人公とヒロインの関係性で展開。

②<こどもから大人へ>16~19話
守られていた存在、言われたことをこなすだけの存在から自律的、自発的に動く存在へと成長していく。
子供を産み、育てる存在へ。
主人公とヒロインを除いた他キャラクター、つまりヒーロー、ヒロインでない者のドラマが主体となる。

③<孤立と共和>20~24話
効率を突き詰め他者との関わりを排除していくのか、他者との関係の中で自分の位置、価値を確立していくのか。
個としての永遠と、受け継がれる流れとしての永遠。
①で終わりにすればという意見がネットでよく見られ、確かにその気持ちはよく分かる。
謎の多くは放置されるが、戦いはつづくけどきっと大丈夫、という前向きな印象できれいに締めることが出来ただろう。
②③は様々な情報が増え、世界の謎が解き明かされていくが、正直な感想として、あまりきれいなつじつまと感じない。
状況をもう一度散らかして、あれこれ揺さぶった後収束させるというには、②③で広げた風呂敷は広すぎて、理屈も時間も足りない印象

ただ、物語として少年期以降の様々な大人的な葛藤を描く②③は良く挑戦したなと思う。
普通終わる物語の、その後を描いたといった良いかも知れない。
分かりやすくいうと、つき合った後の恋人達の問題
自分は、①で終わりだったら良かったかな、と思う派だけど、②③を好きな人もいるだろうし、その気持ちも分かる。

最後に、全編を通して安易なエロ要素が盛り込まれすぎだと思う。
フランキスに男女で乗り込むのはもろにセックスのイメージで、女性があえぐシーンが非常に多くて見ていて恥ずかしい
テーマとして、男女の性愛が世界をつむいでいくのだというところと対応しているのだろうが、露骨すぎる。
カップルを切り替えるのも、なんだかサークル内の狭い範囲で恋人をとっかえひっかえして全員兄弟姉妹みたいな状況
これが堕落とか悪とか言わないが、自分には嫌悪を感じる設定であるし、展開だった。
ラブコメで差し込まれるサービスシーン、意味の無い露出やパンチラという人気取りの要素に感じられて、頻度が高いのでちょっと辟易した。

これではいくら出来が良くても人に勧められないし、アングラアニメの域から出ることは難しいだろう。  

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