2019年10月21日月曜日

ホワイトアウト

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 ★★☆☆☆
~南極舞台の気楽なサスペンス~

 2009年の米国映画。クライム・サスペンス。

 米国の女性連邦捜査官キャシーは過去の事件のトラウマから一線を退き、僻地中の僻地、大事など起こるはずのない南極基地での勤務を続けていた。
 基地は冬期の訪れを目前に、帰国するメンバーの準備に追われている。慌ただしい雰囲気の中、雪原で軽装備の隊員の死体が発見される。それは南極で初めての殺人事件だった。残り時間が短い中、キャシーの捜査が開始される――。

 三十路も半ばで色気にあふれるケイト・ベッキンセイル(「アンダーワールド」シリーズ)が主役で、冒頭からシャワーシーンが入る。気取らない雰囲気の気楽なクライム・サスペンスである。
 南極が舞台だが屋外をさまようようなシーンはほぼ無く、主なやり取りは基地内。屋外はそれを取り囲む危険地帯として描かれ、宇宙船を舞台としたSFと構成が似ているかもしれない。
 
 最初に驚くのが米国南極基地の環境の良さ。南極基地などというものはプライベートな空間も限られ、それもビジネスホテルのような無味乾燥さというイメージを何となく持っていたが、キャシーの私室の豪華さはまるでホテルの一室である。捜査官だから特別なのかもしれないが、部屋に花(造花?)が飾られ浴室はガラス張りで自室内に存在。米国基準ならこのくらいありえるなとも感じるが、カルチャーショックだった。
 それなのに屋外はイメージ通りの苛烈さで、ギャップの表現という点では十分な効果を発揮している。
 基地の施設間移動でさえ、荒天だと遭難の危険性があるため道代わりにロープが渡され、そこにフックをかけて移動する。この感じは過去の名作「遊星からの物体X(ジョン・カーペンター版)」を思い出さずにはいられないだろう。
 
 そういった特殊な環境を舞台とした殺人事件! とワクワクするが、どうにもちぐはぐな印象。
 ・誰が犯人なのか
 ・何のために殺したのか
 ・トリックは何なのか
 物語を支えてくれるはずのこれら要素がどうにも軽々しく、ぞんざいに順次開示されていく。その代わりとばかりに小粒なアクションシーンが差しはさまれるが、どれも微妙で事故で決着がついていくような……。最後もまあ、分からなくはないが微妙な幕引き。
 アクションならアクション、サスペンスならサスペンスに特化した方がすっきりしたかもしれない。
 
 やはり最初の印象通り、美女のお色気シーンを楽しむような映画、として見るのが推奨される。残念ながら、そこ以外のお色気シーンはないが。
 
 

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