★★★☆☆
〜記憶に残る映像〜
山田洋次監督、高倉健主演の1977年の邦画。
古い映画だとはいえ、大ヒット、心に残る情景、俳優陣のその後の活躍の契機となった、など知名度は非常に高い。
金八先生でおなじみ武田鉄矢が魅力的な三枚目として出演。
彼はもともと音楽活動(「母に捧げるバラード」)で芸能歴をスタート。
この作品で俳優としてデビューとなり、好評を博して役者としての知名度を上げた。
傷心旅行で新車の赤いファミリアで北海道に渡った花田鉄也(武田鉄矢)。
道中ナンパした朱美(桃井かおり)とともに網走刑務所から出所したばかりの島勇作(高倉健)と出会い、相乗り旅をすることになった。
元炭鉱夫で男気のある勇作と、良くも悪くも今風(といっても1977年)の鉄也と朱美。
トラブル続きの旅の中で、勇作が夕張に向かう理由が分かってくる――。
当時の風俗、雰囲気を強く感じさせる風景は確かに古くさい。
だがそれを背景に描かれるドラマは、若者と壮年のすれ違いや夫婦間のつながりなど人間の営みに根ざしており、時が立ってもは変わらない普遍性を持っている。
終盤、勇作の案内に沿って夕張を車で疾走するのだが、ここが一人称視点(運転者視点)となっており、臨場感を伴って視聴者をドキドキさせる。
黄色いハンカチはあるのだろうか、無いのだろうか。
すでにパッケージなどでバレていたりするが、それでもやはり引きつけられる表現は時を超えたものだと思う。
世紀の傑作かと言えばそうでは無いだろう。実際世界の映画評価で上位に来ることは無い。
が、同監督の「男はつらいよ」シリーズ同様、日本人の文化、人間性に基づいているのか、幅広い年代に人気のある映画であることは確かである。
これこそが人々の記憶に残っていく名作である証左なのだろう。
本作は作品周りのトリビアに面白い物が多く、Wikipediaで作品ページを見てみると、さらに楽しむことができると思うので、ぜひ合わせて読んでみて欲しい。
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