2019年10月2日水曜日

ソルト

★★☆☆☆
~主人公の他人感が消えない~


アンジョリーナ・ジョリー主演のスパイサスペンス。2010年。

CIAの秘密諜報部員であるイヴリン・ソルトは夫にもその身分を隠して活動。
そんな中、唐突にロシアからの亡命者オルロフが転がり込んでくる。
尋問を担当したソルトだったが、彼の口からはロシア大統領暗殺計画がリークされ、更にそれを遂行する工作員としてソルト自身の名前が飛び出した。
二重スパイの容疑で拘束されるソルトは夫と連絡が取れなくなっていることに気づき、脱出を試みる。
オルロフの証言は本当なのか。ソルトは何をしようとしているのか。計画の行く末はどうなるのか――。

ソルトは何も語らず、ともかく実行、実力行使。見ている者にとって一番怪しいのがソルトなので、感情移入がしにくい
犯人の作戦実行を見ているだけのような歯がゆい時間が続く。
やがて全てのからくりが明らかになるが、苦しい印象。
あまりにロシアスパイの規模が大きく優秀すぎて、CIAや大統領周辺の警護がまるで能無し。
最後も続編匂わせなのだろうか、なにかスッキリしないまま。

エージェントの個人能力でなんとかしていく御都合主義は「ミッションインポッシブル」を連想させるが、MIのほうがはるかに面白い。
違いは仲間の存在、作戦のための前準備、スケールの大きさだろう。
ソルトは一人で、いきあたりばったりで、絵面のスケールが小さい。
きっと視聴者はフィクションはフィクションでも、それなりに理由付けや勢いがほしいのだ。
MIはともかくとんでもないシチュエーションで想像を絶した作戦を行う。そのバカバカしくも心ときめく全力具合に圧倒されてしまうのだ。

ソルトが高飛車で高慢なイメージなのもマイナスで、またアンジョリーナ・ジョリーはそういうのが似合う。
似合いすぎてこちらが拒否されている気分になる。
トム・クルーズのちょっと抜けてて人懐っこい感じが、大衆映画には向いている。

どうやら実際、最初は男スパイが主役で、なんとトム・クルーズが演じる予定だったらしい。
何があったのかアンジョリーナ・ジョリーになった訳だが、トム版だとどうなっただろうか。

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