2019年10月25日金曜日

ゾンビランドサガ

ゾンビランドサガ SAGA.1 [Blu-ray]
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★★★☆☆
~ノリを楽しむコメディ~


 2018年放送の1クールテレビアニメ。オリジナル作品。
 とことん悪のりを楽しむゾンビご当地アイドルグループ奮戦記。舞台は佐賀県。
 
 佐賀県在住の「源 さくら」はアイドルにあこがれる高校二年生だったが、希望に胸をときめかせたまま自動車事故であえなくこの世を去る。
 目覚めると時代は10年後。自分はゾンビになっており、謎の人物「巽 幸太郎」にアイドル活動を強要されることに。同じようにゾンビの少女達と「フランシュシュ」を結成し、まずは地元のアイドルとしての知名度を確立するため様々な活動に挑戦していくことになった。

 ゾンビである事や佐賀県フィーチャーである事に大きな意味は無い。
 ただ「それなんやねん!」という設定を積み重ねてバランスを取った結果に過ぎず、実際やりたかったのは少女グループのコメディーだろう。音楽を加えてそちら方面で吸引力を狙うことも時流的に正しい。
 場当たり的に決まっただろう設定をきちんとつなげて形にした構成力こそは賞賛されるべきだ。
 
 こういったノリで生まれた作品はハイハイと流されて終わりになりがちだが、今作はフックの奇抜さと内容のクオリティが奇跡のバランスで合致し、魅力的な作品となっている。
 実際、なぜゾンビになったか、元の人間関係はどうするのか、といった当たり前の疑問については無視を決め込んでいるがそれが気にならない勢いでシチュエーションが進展して行くのである。
 集まったアイドルはゾンビなので実際に生きていた年代がバラバラであり、江戸時代から2000年代までを網羅。何となくアイドル史の総決算的な雰囲気(雰囲気だけ)。ゾンビとしてのアイデンティティに悩み、生前に残した後悔を取り戻そうと苦心する(雰囲気だけ)。佐賀県民でさえ認知度の低いご当地ネタをどんどんつぎ込んで地方性を強調(雰囲気だけ)。そこに様々なジャンルの曲が毎週毎週被さってきて、勢いで30分を見せてくる。 
 理屈とかもうよく分からんがおもろいという、ギャグまんがのようなアニメである。
 こういう即興的なおもしろ作品はそれとして価値があり、同時代に生まれて楽しめたということを素直に喜ぶべき。
 
 狙って作ったとしたらすごいが、このノリでもう一度走るのは辛そう。
 二期があるならそれはもっと理屈やストーリー性の濃さできちんと積み上げた作品になる(なってしまう)だろうと思う。
 

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