★★★★☆
~バランスの取れた娯楽戦争映画~
テレビで放映されていたのをたまたま視聴したが、おいおい何だよこの完成度! この洒脱さ!
二次大戦。欧州に上陸してドイツと激戦を繰り広げるアメリカ陸軍。理不尽な事情から降格されているケリー二等兵は、ドイツ軍が金塊を大量に隠し持っているという情報を得て、それをぶんどるための手はずを整え始める。
主演はクリント・イーストウッド。映画監督は ブライアン・G・ハットン。1970年公開。1968年に公開されてヒットした「荒鷲の要塞」のコンビ再び。
荒鷲の要塞も冒頭の空中挺進やロープウェイ上の戦いなど、展開のおもしろさ、舞台のおもしろさに圧倒されるが、今作も冒頭からオープニング曲の意外性に持って行かれる。その後もクライマックスばりのシーンと展開の連続でこのテンションのまま最後まで持つのかと観ている方が不安になるほど。そんな心配はよそに緩急のついたゆったりしたシーンも塩梅良く挟み込まれ、ラストまで予想のつかない展開に翻弄される。
登場人物も少なくないが、エピソードに合わせてうまくキャラクター性を見せてくれるので混乱することなくそれぞれの活躍を楽しむことができる。
シリアスなのに御伽話のようでもあり、硬軟入り交じった心地よさ。
遙か遠方まで見渡せる戦場の爆煙と閃光のスケール感。
かっこいいだけでなく泥にまみれた「リアル」な戦車戦。
長い映画史の中にまだまだ知らない名作がたくさん隠れている。
自分の知る映画の知識なんて本当にわずかなものだと再認識。一生退屈することのない趣味を得たのだなあ。
それにしても原題「Kelly's Heroes」がなぜ「戦略大作戦」に……。
「ケリーとその仲間達」などと直訳してもおもしろみがないのは確かだが、戦略と大作戦の意味がかぶって馬鹿っぽい雰囲気は頂けない。この題名のせいでいまいちマイナーな存在となっている面はあるだろう。げに映画の邦題の重要な事よ……。
「金塊大作戦」「黄金の小隊」とかどうだろ。