~見る動機が乏しい秀作~
★★★☆☆
親との確執から故郷を離れた主人公が母親の葬儀を期に自分の過去と向かい合い、「終わらせて」、「始める」四日間を描いている。
歳月を経た旧友達はそれぞれの事情を持ち、各人の生活を送っている。時の流れと比例して主人公との差異も大きい。しかしそういった友人を互いに否定もせず、完全に認めるでもなく、友人の距離で交流していく。
病院の待合室で出会ったヒロイン。お互いに求め合いながら、一歩を踏み出せない主人公。
派手なシーンが多いわけではないが、淡々と巡る故郷の景色は主人公の感じているだろうそのままに、どこかやさしい。
ザック・ブラフ監督はそのまま主人公も演じており、抑制の効いた雰囲気のある演技を見せている。ヒロインのナタリー・ポートマンもかわいい。
主人公が静止し、周囲の人々がめまぐるしく動く特殊なカットをピンポイントで効果的に配し、映画の始まりと締めを整えている。
この映画を見る、という動機に欠けるので視聴機会は中々ないかも知れないが、邦画のわびさびに似た空気を持つ秀作。
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