2014年12月19日金曜日

マージン・コール

マージン・コール [DVD]

★★★☆☆
~リーマン・ショックの前日嘆~

2007年の世界的な金融危機、リーマン・ショックを題材とし、その引き金を引いた投資銀行の決断を描く。
日本では映画館で公開されておらず、セルディスクのみのいわゆるビデオスルー作品。
マージン・コールとは破綻した資産状況に対する資金追加要請のこと。

登場人物が少なく、舞台もほぼ一箇所。低予算だろうと思われるが、映像的に陳腐な印象は皆無。全編が「雰囲気」をたたえている。
実際、あらすじを書くと「いち早く金融危機の到来を知った投資銀行役員が深夜に行った会議と決断」だけとなる。この単純さ、要素の少なさが他の金融を題材とした映画と一線を画している。
会議に参加する役員達は一般人とは異なった金銭感覚を持ち、それぞれの世界を捉える視点を持っている。見ている者にとってみればなにやら異世界を覗いている気分。人となり、発される言葉をたどっていくだけで興味深い。
一つの事件の一つの決断に題材を絞り描いているのは「そういった世界で生きている人の心の持ちよう」である。

ハゲタカだの金の亡者だの言われる人間達が、それぞれどのような理屈、要望からそういった行為を正当化し、行っているのか

これが描かれている。
映画にするにはかなり難易度が高い題材、内容だったと思われるが、これをきちんと面白く描いた手腕は素晴らしい。他の金融映画が幼稚に感じられるほど、シビアで現実的。そしてある意味、救いがない。

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