★★★☆☆
~ぼくらは爆破珍走団~
監督は「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎。音楽も菅野よう子でカウボーイビバップ再び、の趣。
11話からなるオリジナルアニメーション。
17歳の少年二人が自分や仲間達の復讐、存在証明のために大規模なテロを巻き起こす。
超人的知能で実行される都庁爆破、警察署爆破――しかし死者は出さない。日本中は二人に釘付けになっていく。
その渦中、同年齢の少女が二人組と行動を共にするようになり……。
デリケートな題材である「爆破テロ」「プルトニウム強奪」をど真ん中に据えて物語を展開。
映像クオリティは非常に高く、劇場アニメといっても十分――というか凌駕している。
特に物語の象徴でもある爆発エフェクト(手書きと思われる)は「オネアミスの翼」を彷彿とさせるクオリティ、密度。
音楽演出について、自分はやりすぎ、先鋭すぎと感じた。もう少しキャッチーで良いのではないか。
OP、EDは印象的だが変則的な展開で落ち着かない。
BGMもやたらピコピコ音が耳について、アニメ版「寄生獣」を思い起こさせる。
寄生獣と違ってギリギリのラインで踏ん張っている感じではあるが……。これで売る気はないのだろう。
サブタイトルのセンス、語りすぎない台詞など、脚本演出も平均を上回っており、きっちりと11話で完結。
ただ手間暇かけて描かれているのに、物語の印象としては薄味。
最も根本的な物語の意味づけ、「なぜ二人はテロを行うのか」がどうも納得できない。軽い。
わりと個人的な目的のために大多数の無関係な者に迷惑をかけている、という構図になっており珍走団のエンジン音と同様なのだ。
少女の存在もふわふわとして蛇足に感じる。筋書きとしてだけで無く、構成として邪魔になっている印象。
思うに各人の掘り下げが足りないのではないか。
少年達の生い立ち、世界を破壊したいと思いつつ、人を傷つけたくないという矛盾した心境にいたった契機は無いのだろうか。
仲間を大切にする気持ちを描くエピソードが必要ではなかったか。
少年達が少女を受け容れるには、同じ境遇、感情を持つ仲間なのだと納得するシーケンスが足りないのでは無いか。
根っこのところが不安定なため、その上に積み上げた世界が以下にもか弱く貧相に感じられてしまうのだ。
最後の爆発そ。それが引き起こす特殊な状況は、人と人とのつながりを象徴的に見せるこの上ない舞台設定だったと思う。
これをただの副次的効果にしてしまったのがとてももったいないと感じた。