★★★★☆
~短いのを感じない密度~
「レオン」「ニキータ」で名を馳せたリュック・ベッソン監督のバイオレンスSF。
脳はその能力の10%しか使われていないという「よくある」設定のもと、超人的能力を身につけたヒロインが為すこととは。
ルーシーとはエチオピアで発見されたアウストラロピテクスの骨格化石。
この映画では現在の人類への進化の突端となった存在として描かれている。つまり、主人公も次の進化への突端。
このように、超能力を個人的な性質と限定せず、やがて訪れる人類の姿として提示してある点が面白い。
脳力解放の設定は様々な作品に使用されているが、20%でこの能力が発現、30%ではこの能力……と、見ていて唖然とする設定が当たり前に提示されるのがすがすがしい。その力もむちゃくちゃ。
その説明をしているのがモーガン・フリーマン。異様な説得力にひとまず煙に巻かれてしまいたくなる。
そんなルーシーを付け狙うのが韓国系犯罪組織のボス。演じるチェ・ミンシクは「オールドボーイ」の主演でとんでもないインパクトを残したが、今回も負けず劣らずキレッキレ。超人に怨恨のみで挑む破滅的な姿はそれはそれで魅力的。
物語のスケールは最後まで加速度的に大きくなり、下手をすると置いてけぼりになって映画終了となるが、地に足のついた(?)犯罪組織のがんばりのおかげでかろうじて現実に片足をのせている感じ。
リュック・ベッソンはレオンのようなバイオレンス物と「フィフスエレメント」のようなSF物を撮っているが、今作はこの二つがお互いに悪影響を与えない形でうまく同居しており、氏の総集編のような印象を受る。編集の引き出しが多いというか、モンタージュ技法などイメージカットの多様が印象的。短い時間にしっかり満足のいく密度で映像を詰め込んでいる。
監督の遊び心と内容のいい加減具合がちょうどマッチした快作。
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