★★★★☆
~繰り返す一途~
幼い頃から突然記憶が途切れる障害を追った青年が、その謎と仕組みを解き明かす物語。
過去を繰り返して望む結末を追い求める「ループもの」の典型だがアイデアと説得力に富んでおり、オリジナリティを強く感じる。
繰り返しが始まる前にきちんと本筋の人生を描き、そこから改変を行うという段取り。
このおかげで時系列がバタバタするややこしい話なのに理解しやすい。
主要人物を絞り、彼らの人生改変を描くことで繰り返しの影響、その功罪を一目瞭然に浮かび上がらせる。
繰り返しの基点となる場所時点を限定していることも、混乱せずに物語を楽しむことの手助けになっている。
歴史を書き換えようとする物語なのに、パラドックスが起こらない設定となっていることも興味深い。
繰り返せるのに、何度も失敗を繰り返す切なさ。迫るタイムリミット。くじけない一途。
設定に踊らされるのはなく、描きたい内容のために設定を完備している作品。万人に勧められる一本。
DVD特典として上映版とは異なるエンディングを複数収録しているバージョンがある。
特に監督自身が本来のエンディングとした物は、当然だが作中の伏線(手相について)が最も回収された形に収束しており気が晴れる。
その上で正式決定されたエンディングが最も良い形だと納得することも出来るので必見。
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