★☆☆☆☆
~不条理ごっこ系~
放送分は12話からなるアニメーション。オリジナル作品。 原作ものが多い昨今のアニメーションの中でオリジナルだと言うだけでその気概を評価できる。 キャラ、背景、エフェクト共に安定しており、映像レベルは非常に高い。
物語背景は作品を見るだけではよく分からないが、どうやら日本全体が自治体毎に相争う戦国時代の様相を呈している世界。
かといって日常が戦時中の雰囲気に染まることはなく、普通の生活の中で普通に勢力争いしている様子。
その中でレジスタンスのように「世界征服」を目指す「秘密結社ズヴィズダー」。
戦国の覇権に最も近い東京都の知事を親にもつ地紋明日汰(じもんあすた)が家出の末結社の一員となって、結果父と対決する様子が描かれる。
シリアスなはずの物語を脇に置いて、終止おふざけが酷く、もどかしいまま回が進んでそのまま終了。
笑うべきだろう箇所でも間や台詞が悪いのか、後になってそうだったかと気付く始末。
ぐだぐだな展開をそれっぽい台詞や画面の迫力で引き締め、視聴者を引っ張ろうとしているのだろうが、あまりに物語の下積みがないため盛り上がることも出来ずに空回り。
なんというか、例えが悪いが延々イケないオナニーを無理強いされるような作品。
ヒロインであるズヴィズダー首領が補助輪付き自転車を駆る幼い少女(精神は数百歳?)なのも、媚びた感じでどうにも入り込めない。オタクが好きな幼女の声ってこんなだよね、というイデアを固めたような久野美咲氏の吹き替えは見事に職責を果たしているが、見事すぎてこれまたきつい。
最近無茶な設定を立ち上げ、それを作品世界のルールとして説明せずに運用するタイプの作品が多いなと思う。
その中で登場人物達は、ルールに疑問を持つことが許されず、根本的な問題を無視して一生懸命に動き回る。
それは「ごっこ」だ。その作品の中で登場人物が生きていない。その役割を演じているだけのように感じる。
こういった作品を「不条理ごっこ系」と呼称したい。
そしてこれは紛れもなく、不条理ごっこ系作品だ。
映像レベルの高さで見る事はできるが、その労力に見合った脚本、演出にはほど遠い。
残念ながら、見ないことを積極的に推奨する作品。
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