2015年11月23日月曜日

ハンニバル

ハンニバル Blu-rayプレミアム・エディション(2枚組)

★★☆☆☆
~画竜点睛を欠きまくり~

知能派シリアルキラー「レクター博士」と彼から情報を引き出そうとする捜査官のやりとりが話題となった「羊たちの沈黙」の続編。
厳重に拘束されていた博士が脱獄したのが前作のラストシーン。野に下った博士を見つけ出そうとする大富豪の思惑が博士を再び呼び起こす。
知性の塊といった意味深げな会話と唐突な猟奇的行動。それらを同じテンションで行う博士のキャラクターは、常に何が起こるか分からない危険性を見る者に感じさせる。このあたりの感触は北野武監督作品の特徴である「テンションを上げない残酷行為」とよく似ている。前振り無しでいきなり「来る」のである。
このように残酷なシーンもレクター博士の人となりを表すのに必然なパーツであり、また「残虐性が持つ神聖さ」はこの作品のテーマだと思う。それなのに、久しぶりにテレビで見た本作はなんとそういったシーンの多くをばっさり削りとられていた。
R-15指定の作品なので仕方がないのではあるが、おそらく編集者も大変な思いをしたのだろうが、それはまさしく本作の決定的な魅力を削り取る作業であった。いい感じに忘れた状態で見たので素直な感想だと思うのだが、まるでボコボコに穴の空いた絵画。全体のつながりからその穴にどんな図柄が描かれているのか類推は出来るのだが、顔や手といった目を惹く箇所であるため決定的な趣旨が欠落してしまうのだ。このような状態の作品を本来の題名で放送して良いのだろうか?

そう言えばこの映画を初めて見たのは映画館で、友達とだった。その後御飯を食べに行く予定だったが、さすがに食欲がなくなりお茶だけにした記憶がある。ノーカット版を見た方には納得してもらえるだろう。

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