2020年7月15日水曜日

その女諜報員 アレックス

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★★☆☆☆
~最悪の邦題~

 2015年の米映画。凄腕美人犯罪者(けっこうドジ)の逃亡劇。

 南アフリカ、ケープタウンの銀行を襲った四人組の犯罪者。
 最先端セキュリティを力業で突破し、貸金庫からダイヤなどの奪取に成功するもリーダーであるアレックスの顔が人質達に見られてしまった。
 国外脱出のための準備を進めるが、貸金庫に入っていたUSBメモリに重要情報が入っているらしく、素性の知れない武装集団に襲われる。どうも今回の犯罪、様々な裏がありそうである。
 アレックスの生き残りをかけた戦いが始まる――。

 ともかく冒頭のつかみが悪すぎる。世界に引き込んだり、作品の雰囲気やフィクションレベルの提示として非常に重要な部分なのだが今作についてはここが一番ひどい。
 銀行襲撃のシーンなのだが犯人達は全身同じ防具に身を包んで顔もまったく見えない。声もボイスチェンジャーで判別不能。謎のLED正面が全身についておりその色が違うためそこで判別しろということなのかも知れないがいやいやそれでは分からん。何人組かも分からん。仲違いの緊迫するシーンもカット割りが良くないので誰がどうしてどうなったかが壊滅的に分からん。
 劇的にアレックスが登場するシーンを演出しようとしているのだろうが、端的にいって失敗しており、それどころか冒頭の横柄な態度が初印象になってしまいネガティブスタートの始末。

 実はこれ以降の展開やテンポはなかなか良い。その判断はないだろうという展開ばかりだがアクションシーンが五月雨に続いて退屈させない。アレックスの素性について判明することで解けていく伏線もあるし、キャラクターそれぞれがきちんと自分のポリシーを持って動いているので生きている感じがする。

 アクション映画としてみると主演のオルガ・キュリレンコがアクション映画の主役としては厳しい。動き自体はそれなりだが、格闘のプロフェッショナルには見えないし、がんばっている一般ヒロインというのがやっとだ。

 最も腹が立つのが邦題。原題は「Momentum」。
 実は2014年に日本で『その女アレックス』というミステリーが日本で発売されてヒットを飛ばしている。この作品と本映画はまるっきり関係がないが、見ての通り見事に紛らわしい題名となっており、2016年に日本で公開されたタイミングと考え合わせても誤認視聴を狙ったものであろう。あまりに糞であるが、弱小配給会社の必死の一手というところか。――にしても本家は映画化もされていないので受けた被害はかなり大きいのではないだろうか。別物だと理解していない人も多いだろう。
 さらに余分に足した「諜報員」がきっちりネタバレで、作品中盤までひっぱている謎をすでに開陳している始末。
 自分の知る限りひどい邦題トップスリーに入りそうである。
 
 結末は続編に続くような雰囲気で「戦いはこれからだ!」となっているが2020年現在では動きがないようで、まあ今後もないだろう。

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