2009年6月11日木曜日

硫黄島からの手紙



~邦画っぽい洋画~
★☆☆☆☆

「父親達の星条旗」と対になる、二次大戦硫黄島の激戦を日本軍視点で描いた映画。

あまり出来が良くない。

同じスタッフで作ったはずの「父親達の星条旗」と比べても、明らかに出来が良くない。
父親達の星条旗の映画資産の残り物で組み立てました、という程度の映画。

渡辺謙、中村獅童といった配役はぴたりとはまって居るのだが、主役の一人である元パン屋の一兵卒がどうにも厳しい。
演技が下手といったこともなく、そつなく演じているが、役柄が風貌とあまりにかけ離れている。
世を斜めから見ながらも、仲間を大切にする男気ある無頼漢なのだが、重みのない若輩者、北の国からの「純」のイメージに重なる顔つき、演技であるため、ただの粋がったヤンキー兄ちゃんに見えてしまっている。
従って、彼が展開する物語の主題、生きることと死ぬことの意味、戦う意義、といったヘビーな要素が、空回りしきり。
特に痛いのが、回想シーンでヒゲ生やして和服着た立ち居振る舞い。もうアイドルドラマかコントの風情で失笑。
おそらく、アメリカ人の視点でキャスティングしたために起こったずれなのだろう。
東洋人の年齢は分からん、とよく言われるみたいですし。

地下壕のセットが安っぽかったり、表情ポン寄りで回想シーンなど、ちょっと待ってくれという、良くいえば基本的、悪く言えばステレオタイプなカットつなぎ。何か、やる気のなささえ感じてしまうほど。
悪い意味で、邦画っぽい。ださいのだ。
ひょっとして、こちらの作品のスタッフのほとんどが日本人だったのだろうか?
監督だけクリント・イーストウッドで。
※スタッフロールではそんなこと無いようなのですが。
台詞ボリュームが小さすぎて聞き取れない点も、非常に気になる。

物語の展開は行き当たりばったりで、ただの説明要素の羅列。
これは、「父親達の星条旗」と同等の存在として作られたのではなく、父親達の星条旗をよりよく楽しむための副読本的な存在なのだろう。日本人ならどこかで聞きかじったような戦時中の日本の様子を、アメリカ人に説明するための、おまけ。
否定したいが、日本人の感情に配慮し、また、日本での興行収益を上げるための壮大な広告戦略だったのかもしれない。

というわけで、二本一組の映画のように言われるが、ほぼ抱き合わせ販売だ。

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