★★★☆☆
~現実的な戦争映画~
第二次世界大戦で激戦が繰り広げられた硫黄島。
クリント・イーストウッド監督が日米それぞれの視点から描いた映画のアメリカ視点バージョン。
といっても、まるっきり同じ事象を別視点で描いているだけの、マルチカメラ的な作品ではない。
父親達の星条旗は、硫黄島攻略の象徴として立てられた星条旗の写真を軸に、英雄とは何か、何のために戦うのか、と問いかける。
ともかく時系列が複雑に入り組み、構成が分かりにくい。
現在と過去を織り交ぜることで過去と現在のつながりを描こうとしているのは分かるが、つながりが唐突すぎて理解しがたい。難しいのでなく、分かりにくい。
したがって二度三度と見れば問題ないのだろうが、二度三度見たいとは思わない。
これがどの程度史実に基づいているのか不明だが、アメリカも大変だったのかもしれないな、という印象が新鮮だった。
第二次大戦のアメリカは、たいした犠牲を出すこともなく、物量作戦で楽々勝利したというふうに思っていたが、考えてみれば、そんなはずもない。
多くの激戦で、アメリカ側も大きな犠牲を払い、国内も火の車だったと、その点をこの映画に教えられた。
実際、この映画はアメリカの戦争映画にあるまじく、米軍大活躍のシーンがない。
描かれる戦闘シーンは、米軍不利の状態の物ばかりだ。
総体的には米軍が有利になっていったのは事実だが、その各所では、やはり倒れた者が居たのだし、銃撃の恐怖は有利な戦局でも、不利な戦局でも、変わらず強烈なものであるに違いない。
しかし、全般に冗長で、もっと短くまとめた方が理解しやすくなって良かったと思う。
深い計算なしに即興的にくみ上げられたような全編の構成が、あまりプラスに働いていないと感じる。
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