★★★☆☆
~変形シーンの魅力が消えた~
第一作のヒットを受けて、あれもこれも盛り込んだ第二作。
二時間半の時間も気にならない、見所連鎖のジェットコースタームービー。
続編らしい量の増加を基本とし、物語もそれなりにきちんとまとめている。
ともかく見終わった後、チケット代を損をしたとは思わない。誰もが値段分は確実に楽しめる。これこそハリウッドの王道。
冒頭からの圧倒的なつかみですでにある程度満足できてしまうのがすさまじい。
気になる点も多い。
物語に言及するのはそも野暮なのでスルーするが、最も残念だったのが、変形の扱いである。
前作では、変形シーンとそれを取り入れた臨機応変なアクションが最大の魅力だと感じていた。その熱量が今作で低下してしまっている。
変形のなにが素敵かといえば、変形前と変形後、姿が全く異なっているのに、それらは嘘無く可能な変化で、しかもそれぞれが十分に格好いいという点である。変形に説得力と必然性が欲しいのだ。
実際に見かけるオブジェが、とてつもない機構で姿を変えて、人型となる。この驚きが前作の核だった。
今作でも工事現場の建設機器が合体変形して巨大ロボットになったりするが、何というか、変形後の姿がよく分からないのである。うねうねと蠢いて、生物的になったのは分かるが変形前と変形後の共通部分がなさ過ぎて、変形の感動がない。部品をバラバラにして組み直しました、では変形ではなく変態だ。
この変形のがっかりさは、敵側のキャラクター全般に言えるもので、しかも異星人の機械(戦闘機であったり戦闘車両であったり)から変形する。さらに彼らは基本的に銀色ピカピカで、変形前後とも形が理解できず、ただのごちゃごちゃした機械の固まりに見えてしまう。
形が捉えられないから描き分けも理解しにくい。敵は一兵卒とトップでも見分けがつかないくらいだ。
この無頓着は、何なのだろう。
ひょっとして日本人は輪郭で視覚認識する傾向が強いために混乱してしまうのだろうか。欧米人はボリュームで形状を把握しているため問題とならないのかもしれない。
さらにそもそも、変形シーンが少ない。
今回ほとんどの戦闘が市街以外で行われる。しかも主となるのは砂漠。
つまり、トランスフォーマーの多くがかたどる車両形態の使いどころがないのである。
前作に見られた、変形を織り交ぜた戦闘アクションが、とんと見られない。もしくは、印象に残らない。
高速で疾駆しつつ、人型へ、とか、人型が突然姿を崩して局面を切り抜ける、という一線画したトランスフォーマーならではの戦闘が少ないのだ。
代わりにあるのは、巨大ロボットの殴り合いだけで、これはもう食傷気味。
このように前作のインパクトと比べると物足りない続編だと感じたが、思いついた要素全てぶち込んだ闇鍋のようなボリュームと威圧感は一見の価値あり。
やはり映画館で見るのがふさわしい作品。
とまれ、あれこれ下品なのは閉口だけどね。