~現実的なパンデミック~
★★★★☆
これを書いているのが2014年10月。現在世界は「エボラ」の流行に身震いしている。
アフリカで発生した病が世界を結ぶ航空機のネットワークによってあっという間に感染拡大。
病気に対する無知が引き起こす理不尽な事件。そういった実際の風景と恐ろしいほど重なるのが、この映画。
発症後脳を冒し、全身痙攣の後、死に至らしめる伝染病。発覚と同時に国際機関が発生源の特定と収束作業を開始するが、瞬く間に世界中へ感染拡大していく。その中で生まれる美談になりきれない「ありそうな」シチュエーションとエピソード。その一つ一つが実に生々しい。
失ったものを取り戻すのではなく、いかに被害を食い止めるか。負けと分かった撤退戦の最前線で戦う人々の姿を描く群像劇。
命をかけて病魔に立ち向かう人々の動機は職業倫理や自己犠牲が表立つ。しかし極限状態においてはそれぞれが守るべき人への愛情に帰着し、利己的な面が強くなっていく。そういった人間らしい狭い愛情は同時に感染を広げ抑制を困難にする原因でもあり、愛という感情の理不尽さが強く心に残った。
物語は最初と最後で綺麗にひとつながりとなり、気持ちよく(?)視聴を終えることが出来た。
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