2019年10月4日金曜日

名探偵ピカチュウ

名探偵ピカチュウ 通常版 Blu-ray&DVDセット 

★★☆☆☆
~毛深いおっさんピカチュウ~

2019年。ゲームを原作としたアクション冒険映画。
ピカチュウはもともとゲームボーイのゲーム「ポケットモンスター」に登場するモンスターの一種に過ぎなかったが、愛くるしい容姿で圧倒的な人気を博し、以降シリーズの看板キャラクターとして20年以上にわたりポケモンコンテンツを支え続けている。

間違いそうなのはこの映画がポケモン本編ではなく、その派生作品である「名探偵ピカチュウ」を原作としているということ。
名探偵ピカチュウは、本来可愛く「ピ〜カピカ」とかしゃべる(鳴く?)ピカチュウがおっさん声でしゃべるというかなりの異端作品でゲテモノと言っていい。
なぜこれを実写化したのかと思うかも知れないが、RPGである本編は映画化するには長すぎるし、話自体はわかりやすさ優先で子供向き。
映画脚本としてまとめるのはなかなか難しそうである。
頑張ったところであまりに大きなファン層は趣味嗜好も様々であり、パイが大きい分ネガティブな反応も大きなものになるだろう。

反して名探偵ピカチュウはそもそも知名度が(本編に比べれば)低く、そういうのを許容できるファンにしか届きにくい。
洋画であり、実写であり、ピカチュウが毛深いことで、純真な子供が中身がおっさんというショックにさらされる危険性は低いだろう。
老若男女の正当派ファンは邦画のポケモン映画シリーズを見るという住み分けが行われるのだ。

自分はポケモンにさほど詳しくない5才の息子と見に行ったが、反応はいまいち。
邦画の3DCGアニメ「ミュウツーの逆襲EVOLUTION」も見に行ったが、明らかに見ている間の反応も、その後の話題に上る率もこちらが良い。

作品としてはきっちり手堅い感じだなと言う印象。
原作ゲームのシナリオをどれだけ踏襲しているのかは分からないが、テンポ良く進み、良いタイミングで差し込まれる見せ場など、さすがハリウッド。
ちょっとどうなの、という展開が多くオチも上手くまとまってはいるのだが、残念感の方が強い。

何よりポケモンがおしなべて毛深いのが嫌だ。
がっかりしたり、悩んだりというピカチュウの表情がしっかり描かれていて目新しいが、やはりオーバーアクションに感じる。
やはり自分の中のピカチュウはぬいぐるみのような存在なので、リアルになってもミュウツーEVOLUTIONの方向性だ。

海外のファンの脳内ではこのような形でポケモンが再生されているのかと思うと、文化に根ざす世界認識の相違は大きいのだなあと改めて驚く。

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