★★★☆☆
〜競り負ける絶望〜
もったいない印象が残るSFスリラー。
火星の衛星で生命体を見つけた宇宙飛行士たちは、地球に帰還する前にその安全性を確かめようとする。
クリオネのような幼生はヒラヒラと美しく、危険性などないように思われたが、強烈な成長速度でクルーの想像を超えた危険生物に。
危険生物をなんとかしようと自身の命を顧みず奮戦。自己犠牲作戦を連発するが、これがことごとく失敗。
自己犠牲のおかげで何とかその場を切り抜ける、というのが良くある展開だが、今作では自己犠牲でどんどん事態が悪化する。
しかも失敗の原因が「好奇心」「精神力」「仲間意識」「家族愛」など、本来人類を救いそうな概念。(好奇心は違うかな)
さらに人類の代表者は(当然だが)全員が宇宙飛行士で、皆エリート。
結構うかつで、ミスも多いが、ホラーのモブ役のばかばかしさとは違い、皆自律的にきちんと動く。
なので馬鹿には見えないが、もうひと踏ん張りが効かない、頼りない印象。
最後の最後もケアレスミスというか、強烈な運の悪さというか……。
今作は人間が人間らしさゆえに招いた事態を人間の力でなんとかしようとしたあげく、失敗するという内容。
どんな宇宙生物の戦いよりも、本質的に競り負けている感じで、絶望感は深い。
映像も美しくキャストも豪華。日本人にとっては真田宏之 が嬉しい。
アニメファンには吹き替えの坂本真綾が素敵。
クリーチャーの表現も素晴らしく、閉鎖空間なのに画面持ちも良い演出。
それなのに物足りない感じが残るのは、結末があまりに断ち切る感じだからか。
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