以前映像作品の根本的なレベル分けについて、以下のように書いてみたことがある。
<レベル外>
・何が描かれているのか分からない
どういう出来事が起きているのか分からない。
<レベル1>
・何が起こっているのかが分かる
どういう出来事が起こっているのかが分かる。
<レベル2>
・映像が安定している
絵柄、動きが整っており、鑑賞するのに気にならない。
・構図がとれている
構図が整っており、出来事が分かりやすく描かれている。
<レベル3>
・映像が魅力的
絵柄、動きが魅力的。
・構図がすぐれている
構図が緩急効いており、魅力的。
<レベル4>
・映像が物語と相乗効果を生んでいる
魅力的な映像が、言葉では表現できない情報を描き出し、物語を奥行きあるものとしている。
・構図が物語と相乗効果を生んでいる
構図が物語の意味を強調、補佐し、情感を加えている。
今作は紛れもない<レベル外>だった。
「浅井ラボ」氏の小説を原作としたワンクールの深夜アニメ。
昨今当たり前のように、伏線などの回収のないまま12話で終了。続編の話は現在聞こえない。
科学解釈の魔法で戦う二人組が、国同士の軋轢にすりつぶされていく人々を目撃していく物語。
個人ではどうしようも無い悲劇に巻き込まれた人々がテーマの一つなのかと思うが、その悲劇具合が分からない。
そもそも複雑な国の関係を説明なしのまま進めるので、誰がどの勢力なのかが分からないのだ。
なので悲劇と言うよりただの残酷で、その表現が拙ければバカバカしい喜劇になる。
残念ながらこの作品はバカバカしい喜劇になっている。
国関係も問題だが、時系列もよく分からない。回想なのか現在の事なのかが不明なのでつじつまが合っていないように感じるのだ。
意味不明の複雑さは視聴者を置き去りにして、がんばっているキャラクターを冷静な目で見させてしまう。
じつにバカバカしい。
原作は出版社を変えながらも20巻以上続いている息の長い作品なので、アニメには無い魅力を持っているのだろうと思う。
とすると、アニメ化が失敗であり、そして、原作もバカバカしい内容に違いないと感じてしまう現状は、メディアミックスとしても失敗だろう。
この作品で幸せになれた人はいないのではないかと思う。
なぜこの作品を最後まで見たのかは、ひとえにあまりに意味不明だったため。
話数をつないでも何も意味が分からないという点に興味を引かれ続けてしまったのだ。
もっと分かりやすい内容だったら、そうそうに見るのをやめてしまっただろうと思うと、この作劇クオリティの低さが視聴継続させたと言える。
しかしそれは世の中に不幸をまき散らすだけの力なので、まさしく「悪」であろう。
この感想の締めとしては、良くあるように引いた視点で一般化するのが相応しいと思う。
「大きな力の軋轢にすりつぶされる人々とは、このアニメ作成に関わった人々と、そして視聴したあなたなのだ」
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