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~かつてコミックコンプを読んだオタク達へ~
「めいびい」氏の漫画を原作としたアニメーションシリーズ。2019年、全12話。
原作漫画は未読だが、試し読みの折り込みチラシで、達者な絵だな、と思った覚えがある。題名にも何か惹かれるところがあり、哲学的な内容を含むのだろうかと興味を感じていた。間違いだった。
第一次大戦くらいの科学技術の架空世界で繰り広げられる大陸戦争。そこで投入された怪物化した人間兵『擬神兵』は圧倒的破壊力で戦争を終結に向かわせるが、戦争が終わってしまえば危険な化け物。またその技術は不安定であり、英雄だった擬神兵達はもどった故郷でそれぞれに問題を起こしていた。
擬神兵部隊の隊長であったケインは獣に墜ちた各地の部下達を葬るための遍歴を開始する――。
世界設定やキャラクターの行動、セリフに至るまで、一言でいうと、拙い。見た目においても動きにおいても演出においても、総じてレベルが低く、非常に厳しい出来になっている。原作漫画がどういった内容なのか分からないが、おそらく基本は同じで、画力で説得力を持たす系の作品だったのでは無いかと思う。そうで無ければアニメ化まで至る内容とは思えない。
漫画には漫画の説得力や魅力があり、アニメーションにはアニメーションのそれがある。例えば台詞回しにしても、読んで理解しやすいものと聞いて理解しやすいものは異なる。画面構成も、静止した画像と動く画像では必要とされる要素が異なるだろう。つまり、漫画原作をアニメーションにするにあたっては、きちんと内容を咀嚼して媒体に合わせた再構成を行う事が必要なのだ。
今作がどの程度原作漫画と同様なのかは不明だが、アニメーション化という作業に失敗していることは間違いない。背負ったバックパックのジェット噴射で高速移動する装置や、謎の無反動連射機関銃など、動かすと冗談にしか見えない描写が噴飯物の映像になってしまっている。
ただ、みているととても懐かしかった。かつて「コミック・コンプティーク」と呼ばれる漫画雑誌があった。最近の漫画雑誌は読者の趣味嗜好に合わせて細分化が進んでいるが、昔はもっと単純で、少年向け、青年向け、少女向けくらいしか無かった。そこに「オタク向け」の内容として投入されたのがコミックコンプであり、エロ分野までカバーしたゲーム雑誌から派生したものだった。題材がゲーム、もしくはゲーム的な内容だったので、今から思い返してもものすごくオタクぽい内容だったと思う。その雑誌で連載されていた漫画のような雰囲気が、今作には満ち満ちているのだ。
共通点は、「背伸びしてがんばったけど、子供だまし。薄い内容の雰囲気だけをたのしむ作品」。
でも、中学生の自分には楽しかったし、今のそのくらいの年齢の子達にとっても、ぴったりくる作品なのかもしれない。
年齢に関係なくたのしめる作品は確かに存在すると信じるが、年齢に見合ったその時楽しい作品が大半であり、それをそれぞれの時点で楽しむのが正しい姿勢なのだろう。
今作は、自分に合う作品ではなかった。いうても漫画でアニメで、若い子向けだ。合わない作品の方がどんどん多くなっていくのだろうな――。
原作は現在(2021-01)時点で連載継続中で、当然アニメは尻切れトンボである。
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