★★★☆☆
~デ・ニーロがキュート~
2001年の米国映画。常軌を逸した犯罪者がテレビメディアを巻き込んで起こす犯罪の一部始終が描かれるアクションサスペンス。
ニューヨーク市警の顔としてメディアに頻繁に登場する有名刑事エディ。消防署員の犯罪調査係であるジョーディ。かつての犯罪仲間から分け前を回収するために現れたエミルとウルグ。
三者三様のメディアに対するスタンス。それら全てを飲みこんでいくメディア、つまりは情報を希求する民衆。結局のところ「有名でさえあれば犯罪者だろうが刑事だろうが構わない」というルールに支配され、恣意的な情報に操られる社会に問題提議する内容となっている。
刑事エディを演じるロバート・デ・ニーロがやはり魅力的。メディアを疎ましく思いながらも上手く利用するという老獪な刑事役にピタリである。取材で見知ったであろう女性キャスターとねんごろだが、いざプロポーズしようとしてなかなかうまくタイミングを取れない純情な側面もキュート。
彼に比べると若手の調査員ジョーディはどうしてみ魅力が薄く感じられる。理想を掲げるものの、様々な状況に揺り動かされ、一貫性に欠ける行動をくり返してしまう。
サイコ犯罪者エミルとウルグは行き当たりばったりながら、運なのか能力なのか、社会の隙というか痛いところを上手く突いて犯罪を繰り返していく。感情移入しようもないが、何をするのか分からない不気味さ、理解できないこだわりが生み出す悪の一貫性が吸引力を持つ。特にウルグが最初からずっと回しているビデオカメラの映像は、本人のサイコっぷりを遺憾なく表現しているし、シナリオ的にも重要な役割を担っている。暴力的映像が価値を持つテレビの事情を映画で見るという入れ子構造は、意味の有無はともかくめまいがしそうだ。
作品としてはまさかの主要キャラ途中退場という意外な展開、この話この後どうまとめるんだよ、というとっ散らかり具合からの力業で何となくまとまったように終了。オチはともかく驚きは大きく、それだけで観る価値はあるかも。
2019年11月4日月曜日
15ミニッツ
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