2019年11月12日火曜日

スナイパー/狙撃


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 ☆☆☆☆
~近接最強スナイパー~


 1996年の英/加(カナダ)映画。
 遠方から標的を銃撃する「狙撃手」を主人公としたアクション映画。
 

 ワックスマン(ドルフ・ラングレン)はさまざまな戦場を渡り歩いた歴戦の狙撃手。次の任務は建設途中に放置された高層ビル最上階からの狙撃。二名の守衛の目をかいくぐって侵入に成功。同時に狙撃補助者(スポッター)のクレッグは電気系統の点検を装って正面から侵入するが、その美しさから不良警備員オハラの性的興味を引いてしまう。
 ワックスマンは過去、クレッグ初任務時にパートナーを組んだことがあり、失敗、逃亡を共にした仲であったがなにやらただならぬ因縁がある様子で――。

 色々な失敗が散見される映画で、単純なのに分かりにくく、すっきりしない。
 
 ◆主人公達の位置づけが分からない
 冒頭過去の狙撃任務が描かれるが、何のために何をしようとしているのか説明皆無。辛うじて狙撃対象だけは分かるが意味不明。この任務は失敗に終わったがなぜ失敗したのかもよく分からない。ワックスマンの狙撃手としての腕前は披露されないので、凄腕とはとても思えない。この状態は終了まで続き、どういう団体に所属していて何のために戦っているのかまるで謎。そして当然狙撃手としての腕も不明のまま……。
 この不安感は思っていた以上に居心地が悪い最初にキャラを立てるのは非常に大切で、それにはある程度の素性(善か悪か)も必要なのだという教訓を得た。

 ◆スナイパーなめとんか!
 映画中ワックスマンが活躍しないわけではないが、この映画、決して狙撃手を描こうとはしていない。何せ「ロッキー4/炎の友情(1985年)」でアポロをぶち殺したロシアの殺人機械ドラコを演じたドルフ・ラングレンである。撃そっちのけで敵と殴り合い、近距離銃撃戦に興じる始末。見た目的にもそれが正しいが、言い訳程度に狙撃するのがきつい。なんと遠方のビル屋上の敵対狙撃手と立ち姿のまま狙撃合戦、敵の射撃を飛び退いて避けた後照準も合わせずに一発命中とか、スナイパーをなめてると思う。

 このように決して「スナイパー/狙撃」を名乗って良い内容ではない。原題が「Silent Trigger」となっておりまだこっちの方が無口な戦士的雰囲気に逃げられる感じ。邦題としては「ドルフ・ラングレンの近接最強スナイパー~あいつとおれと~」が内容雰囲気込みでジャストミート。あれ、結構面白そうじゃない?
 
 見所としてはドルフ・ラングレンの筋骨隆々な肉体美。Tシャツスタイルで主張する筋肉のラインはほんとカッコイイ。それと対比するようなグレッグ(ジーナ・ベルマン)のキリッと引き締まった女性の体の美しさがお互いを引き立てている。この二人が狙撃時間までの時間つぶしに体を重ねるのだからたまらん。グレッグが上着をグワッと一気にまくり上げるシーンが今作の最も美しいシーンだ。敵を排除しきってない状況で何しとんねん! と思うが迂闊とか危機管理とかそういう野暮はほっといてこのシークエンスを入れたのは作品魅力として正しい。これが無かったら虚無に近い。

 過去任務の逃亡劇が所々に差しはさまれて二人の因縁を描くが、何が因縁なのか分からない始末で物語としての意味はほぼ無い。ただ、この逃亡劇の方がビルからの狙撃よりはるかに面白いので、こちらだけをきっちり描いた方が良かったのではないだろうか。新人とベテランのバディものとしてまとまりも良かっただろう。



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