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~夢のあとさき~
1964年の東京オリンピックの記録映画。
巨匠、市川崑がカメラ技法の粋を駆使してくみ上げた、前衛的記録映画。
ただの記録映画ではない、というか、これこそ記録映画だ、というべきか。
オリンピックという祭典の哲学、意義さえも包含した上で、普遍的な映像表現となっている。あの日あの時の記録性という部分は幾分薄れるが、その分時代を越える。
現在のオリンピックに比すれば記録も、規模も、動くお金も小さいであろう40年も前のオリンピック。
なのに、今以上に輝いて見える。
全ての人が祝福しているように見える。
選手と観客が近く、国の垣根を越えた瞬間がたくさんあるように思える。
これら感想も、そのように演出された映像が生み出す幻想なのかもしれない。
それでも、オリンピックの目指すところはここにあるのだと、あるべきだと、封じ込められた声が聞こえる。
「人類は四年に一度夢を見る」
語られるこの台詞が、幸せで、切なくて。
まごうこと無い、名編です。
冒頭、施設建設のため、破壊され、ならされていく町並み。
走る新幹線が富士山の前を走る。
ここでもう、泣ける。
劇場公開版とディレクターズカットですが、公開版の方が長々としているものの、大作感は強いので、自分の好みはそちらの方です。
あまり大きな違いはないように感じました。
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