2009年2月14日土曜日

時をかける少女 (アニメ映画版)

★★★ ☆☆
~少女漫画と少年漫画~

尾道三部作に数えられrる、大林監督の「時をかける少女」がノスタルジイを主体に少女漫画の世界を映像化した作品だとすれば、今作は未来への希望を主体に少年漫画の世界を映像化した作品だろうと思う。
主人公は少女であるが、その心根はどちらかというと少年的で、繊細とはほど遠い。
良い悪いではなく、全く別の作品であるということ。
だから実写と比べてどうこう言うことは、あまり意味がない。同じネタを違う時代、違う人物に適応した物語だ。

その上で判断すると、
すべて、問題なく、破綻無く、まとまっている。
笑いもあるし、緊張もあるし、そこそこ情感もある。
きっとこの作品を大好きな人も、たくさんいると思うし、それに同意もできる。
でも、全編にわたり、なぜかどこか冷めている。
画面は生活感にあふれ、背景の人物も生活を営んでいる雰囲気を持っているのに、主人公など、主要人物だけが、浮いている。
ステレオタイプな人物像。その枠を越えない、男二人、女一人の人間関係の機微。
勢いが少し足りず、それぞれのシーンで少しずつ不満がたまっていく感じ。

もうちょっと、くさくて、よかったんじゃないか?
無理してきれいにまとめる必要はなかったのではないか?

そういう欲求不満を抱えて、まずまずおもしろかったね、と映画館を出た。
他に気になるのは、声優のつたなさ。致命的ではないが、やはり不安定で、なぜわざわざ新人起用するのかが分かりません。
素晴らしい新人が抜擢によって出現することもありますが、多くの場合政治力を感じるだけの、マイナス要素です。
今作でも、やはりどこか不穏な空気を感じてしまいます。

ところで――。

これは実写版の「その後」の物語のようです。
かつての主人公の「姪」が今作の主人公で、かつての主人公も重要な役柄として物語に関わっています。
アニメを見て気に入った人は、ぜひ実写版も見て、もう一つの恋物語も味わってみてください。

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