2020年6月17日水曜日

ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー

ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー [Blu-ray]
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 ★★☆☆☆
~おもしろくないのに見ていられる~

2009年の米アクション映画。世界的ヒット作であるビデオゲーム「ストリートファイターⅡ」を下敷きに、そのキャラクターの一人(非常に人気が高い)である「チュンリー」を主人公としている。

厳格ながらも優しい父・シアンと美しい母・ジーンに見守られて育った春麗。その幸せな生活はある夜屋敷を訪れた謎の男ベガ、そしてその部下バイソンのシアン誘拐によって崩れ去ってしまう。その後美しく成長した春麗は幼い頃からの夢だった世界的なピアニストとなって、病に伏した母を支えながら暮らしていた。ある日公演を終えた彼女の元に謎の絵巻物が届けられる。春麗はその絵巻物に心惹かれ、解読を試みようと古本屋へ持ち込んだ。古本屋の女主人は絵巻物を見て「バンコクへ行き、ゲンという男を捜せ。そのためには今の生活全てを捨てなければならない」と語るのだった。(Wikipediaより

 映画的な壺を押さえた作りと言おうか、大したことのない話と内容なのに、なぜか見ていられる。
 撮影と編集の勝利というか、プロの職人芸を感じた。
 格闘シーンでその技が特に目立つ。よくよく見れば動きが飛んでいるはずなのに、流してみると違和感なく躍動感を持ってつながっている。動きの方向やカットを埋める被写体の範囲、位置など、ともかくつながって見えるように編集しているのである。
 
 こういった職人芸は他の部分でも見え、割り切りとテンポの良さがすさまじい。
 格闘ゲームでは多数のキャラクターが存在するが、無理して全員入れようなどとはせず、カメオ的な出演含めても非常に絞られている。
 その上勿体ぶって現れた原作準拠でもある敵の切り札、暗殺者「バルログ」がほとんど瞬殺されたり、それで良いの? と思えてしまうような潔さ。
 
 チュンリーが浮浪者生活(全然それっぽくない噴飯物)をするところはやたら時間をかけたり、最後までなんの役にも立たない警察組織の様子をダイジェストで差しはさんできたり、通常なら邪魔で野暮ったくなるシーンが、何というかバカバカしさのアクセントになっていてなんだか良い塩梅。チュンリーが広大なバンコクで「ゲン」という人物を探すのだが、この聞き込みシーンが振るっていて、通りがかりの屋台の人に「ゲンを知ってる?」「いいや」「そう……」だけなのだ。そんなん知ってるわけないし、本気で探してないやん! 警察も無能きわまれりの役に立たなさを常に発揮し、男女バディものの微妙なお色気シーンのためだけにいるのかというくらい事件解決に絡まない。
 ところが、このバカバカしさが定食の漬け物、カレーの福神漬けのように全体としてはしっくりくるのだ。何というか、緩急の緩の部分、流し見ても問題ないというのが分かりきっているので、気を緩めるのに丁度良いのだ。
 
 一見ただのキャラもの映画であるが、この題材をこのように気持ち良くまとめるのは職人芸といえる。
 万人に勧めるといったものではないが、どのような作品も多数のプロが関わっており、各人がきちんと役割を果たすことで映画になっていくのだと感じ取れる、応援歌のような作品だと感じた。
 
 必殺技の表現に関しては「スピニングバードキック/回転的鶴脚蹴」は表現がきつすぎて残念。気功拳は割りと表現されていたが百裂脚はそもそも出てたかなあ……。
 これらがCGバリバリで表現されても、映画全体で見れば確実に浮いていただろうから、スタントの範囲内で収めていったのはこれまた英断だと思う。
  ※気功拳だけはエフェクトで表現してました。

 お笑いコンビの千原兄弟が日本語吹き替えに参加しているが、作品の質を低下させる効果が目立っており、文化破壊的。あきれる。

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