★★☆☆☆
~出落ちで終わると思う無かれ~
2011年イギリス制作のサスペンス映画。日本未公開だが各種ネット配信に載っていたので割と見た人がいる印象。自分は午後ローで。
原題「A Lonely Place to Die」で「死ぬための孤独な場所」といったところ。
邦題はクライムが山登りの「climb」なら「手足を使ってよじり降りる」と言う感じだが、犯罪である「crime」ともかけてるのかな。
スコットランドの登山を楽しみに来た5人の男女。広がる山岳高地をトレッキング移動中に異様な「声」が聞こえてくる。
元をたどると林の中の一角にパイプが突き出ており、まるで空気穴のよう。声はそこから響いていた。
状況が分からぬままあたりを掘り起こすと木の箱。その中には幼い少女が――。
山登りの5人は二つのカップルとあぶれた男一人。カップルのうち一つは付き合いだしたばかりのようす。その女性とあぶれ男とは山登りのコンビとしてのつきあいは長いようで――。
上記のような配置が割と丁寧に説明されるので、男女の恋愛駆け引きも要素に入ってくるのかなとのんきに構えていたら、少なくともそういった方向をシャットダウンする展開の続出。え~! そうなっていくの?
といっても落胆するというより流れに乗ったまま楽しむことが出来る。少女が埋められていたというのは今作のフックとして最も強いが、それにまつわる謎(どうしてあのような場所に埋められていたのか)は早々に回収。これは出落ちのがっかり映画かと心配するが、逃走劇の形態がどんどん変化、その規模もどんどん膨らんでいき、これはこれで楽しめる。最後には祭りに沸く町になだれ込み、警察官を巻き込んだ大量殺人&火事と予算内で行けるとこまで行ったる感じが気持ちよいほど。
少女埋没をきっちりフックとして設置、これは宣伝活動でネタバレになることを前提にした上で全体を組み立てているように感じる。
なるほど、見終わった後にどうしても思いやってしまう大きな、もしも――。
――もしも、あのとき彼女を掘り出さなければ――。
誰が一番の犯罪者なのか。事の発端の犯罪者はもちろんだが、命を至上としたとき、最も被害が少なかったのはどういう選択だったのか。
いろんな食い違いと偶然……。大きな流れの中では悪人の選択も、善人の選択も、等しく意味が乏しい物なのだろうか。
映像的にはスコットランドの高地の森や川が美しいが、あまり予算が無かったのか撮れるだけ撮っておいてつなげると行った雰囲気。テンポを生み出すためのスローモーションは上手に使ってあると思うがいささか頻繁すぎてだれ気味なのが残念。
0 件のコメント:
コメントを投稿