2020年11月27日金曜日

インビジブル・スクワッド 悪の部隊と光の戦士

インビジブル・スクワッド 悪の部隊と光の戦士 [DVD]
★★★☆☆
~等身大の冒険活劇~


 2014年のイタリア映画。日本での劇場未公開のビデオスルー作品の模様。日本でのビデオ発売は2016年。最近イタリア映画を見る機会が多かったので、大仰に名前を叫ぶシーンになるとイタリアだ! と強く感じた。ラピュタのドーラのような押しの強いおばちゃんがイタリア映画には欠かせない。
 
 題名はむりやりスクワッド(仲のよい仲間、部隊)と入っているが、割と孤独な戦士である。DCの映画「スーサイド・スクワッド」も2016年なのでそちらとの相乗効果、また何となくアベンジャーズっぽい雰囲気も持たせたかったのだろう。副題「悪の部隊と光の戦士」が「戦士達」で無いことからもヒーローチーム映画とは異なるのだと分かる。

 原題は「Il ragazzo invisibile」。見えない少年、となる。そんなにヒーローヒーローした作品ではないのだ。

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内向的な少年ミケーレは学校でいじめられてばかりいた。ある時、トイレに閉じ込められたミケーレは怒りを爆発させてしまう。すると、体が透明になり、服を着ていなければ誰にも見えない透明人間になっていた!<KINENOTEより
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 思春期のいじめられっ子が突然透明人間化するというこれまでも見たことがあるような導入だが、ひと味違うのがカラッとした人間関係。ミケーレは衝動そのままにいじめっ子に復讐し、女子生徒の更衣室に忍び込む。後者はすぐにバレて(当然だが)クラスの女子から変態扱いされるも、割とすぐに許される(というか、元々無視されがちだったので扱いはあまり変わらない)。ミケーレも悪かったと反省して以降はそちらの方面に力を使うことはない。透明人間になれたら……という基本的な内容はこのように前半でてきぱき片付けてしまって、あとはなぜその能力があるのか、能力者を見つけようとミケーレを探す勢力とは――というヒーロー映画展開。変にエロ衝動に拘泥しないのもすっきりしていて良い。

 透明人間の表現にもひねりが効いている。透明人間は服は透明にならないので真っ裸で徘徊するという状況になるのだが、これをそのまま表現するシーンが多い。つまり普通に生活する人に紛れて全裸で居るのである。この絵面はあまりに変態的でシュールでどうひいき目に見ても格好良いヒーローとはならないのだが、前半にのみ出てくる表現なので差し支えない。かえって自分の欲望を果たそうとする姿を滑稽に馬鹿っぽく描いているのでバランスがとれている。

 題名とパッケージのせいで大作アクションヒーロー映画のような前提で観てしまうと大がかりなアクションシーンはさほど無く肩すかしをくってしまうが、思春期少年のがんばりを見守る映画とすれば様々な要素が綺麗にまとまっている優秀な作品と言える。最後には大きな引きが用意され、これはぜひ続編も見たいものであるが、例によって海外では公開済みだが日本では公開もビデオ発売もまだ予定にはないようである。(2020/11/27現在)

 

 

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