★★☆☆☆
~無理せずにこぢんまり~
2005年(日本公開は2006年)。米仏合作の立てこもりガンアクション。
合作だが舞台はアメリカのデトロイトのみでフランス要素は感じない。
1976年の映画「ジョン・カーペンターの要塞警察」のリメイク。ジョン・カーペンター監督は予算にかかわらず独自の視点を盛り込んだエンターテイメントをかっちり作り上げる監督で、リメイクにどの程度オリジナルの要素が残っているのかは分からないが、なるほど状況設定が面白い。
デトロイトにある最も古い警察署「13分署」。そこで内勤として働いているジェイク・ローニックは、過去の潜入捜査官時代に、自らのミスで仲間2人の命が奪われてしまったことを、現在も深く悔いていた。その年の大晦日、彼は数名の同僚達と署で年を越すことになるが、そこへ大雪のために緊急避難してきた護送車が到着する。護送された犯罪者の中には、暗黒街の大物マリオン・ビショップの姿もあった。こうして多くの凶悪犯達と一夜を過ごすことになったジェイクだったが、突然何者かが警察署に侵入してくる。それを食い止めるジェイクだったが、警察署はすでに武装した集団に取り囲まれてしまっていた。 <Wikipediaより>
13分署に立てこもり、と状況を設定してしまうことで描く要素を絞り込めているため、散らかりすぎることなく最後まで楽しむことができた。人間関係の組み立てを序盤からしっかり行って、警官と犯罪者が反目しながら協力していくなど、そう来たか! という展開が小気味よい。それぞれの頭目とそれに(ひとまず)従う者たち。問題児揃いなので一筋縄でいくはずもなく、敵の対応とともに内部の不和にも気を配る必要がある状況。わくわくする。
そういった人物達をどう絡めてどう統合して状況突破していくのかと期待すると、これも意外な方向に転がっていく。せっかく立ててきた人物達を容赦なくどんどこ退場させていくのだ。確かに個別の事情に踏み込んだメロドラマになっても退屈しそうだが、そのシビアさに驚く。物語としては先が読めないことになり興味を失うことがないが、同時に登場人物の非人情さ(誰が死んでもそれほど気にしない)に全員がサイコパス臭を放つようになる。当然主人公も同様で、後半になるほど感情移入は難しくなっていく。
物語もまずまず綺麗に収まるが、置き去りにした命達を思うとそれで良いの? と違和感は残る。主人公の過去のトラウマ、仲間の死に対する罪悪感克服が一つのテーマだったと思うのだが、誰が死んでも気にしない、というすんごい方向でそれを乗り越えてしまうのだ。
エンターテインメントとしては無理に規模を大きくせず、こぢんまりだがまとまりの良い作品。敵親玉の勿体ぶった物言いなどお約束を押さえつつ、緩急のある状況変化で興味を引き続け最後まで楽しむことができる。
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