2020年10月12日月曜日

TENET

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~映像の圧倒的説得力~
★★★★★


 2020年。クリストファー・ノーラン監督による時間反転SFスパイ映画。
 

 ウクライナのオペラ劇場で「プルトニウム」の争奪を目的としたテロが発生。
 CIAに所属する主人公(名もなき男)は目標物の確保に成功するが、それはプルトニウムではない謎の金属塊であった。
 その後敵勢力に捕らえられ拷問にかけられるも、口を割る前に服毒に成功、自死をもって機密を守った――。 
 目が覚めると一連の経緯はとある活動に従事するためのテストであり、それに合格したと告げられる。
 目的は「世界を第三次大戦による滅亡からすくう」こと。続いて明かされたのは、未来から時間を逆行する物質が現在に送り込まれているという事実。
 複雑に入り組んだ二つの勢力の戦いは規模と混迷を拡大させていく――。

 導入やあらすじからこの映画の魅力を想像するのは非常にむずかしい。物語が複雑で面白さを説明するにはその全てを並べ立てる必要があるのだ。これはノーラン監督の作品全般に言えることで、上映時間中積み上げて積み上げて辿り着く場所(物語の頂上といえるクライマックス)からの絶景が1番の魅力であり、それを伝える有効な方法がないのだ。こういう作品が好きそうな人に、ぜひ見て欲しいと信用買いを薦めるしか手はない。
 なので、このようなブログの文面を読んでくれているあなたに、こう伝えるしかない。
 
 これは見るべき映画だ。
 
 最も伝えたいことは↑なので、ともかく騙されたと思って見て欲しい。おそらくこれ以上何を書いても、この作品を前情報無く最大限楽しむという経験を損ねてしまう。この作品は宝物のような存在で、そうそう出会えない特別な作品である。
 以下に視聴したくなるような要点だけ列記し、詳しい内容は書かずにおきたい。
 ぜひ最低限の情報だけで、この「映像体験」を満喫して欲しい。
 
 ①「時間移動」の新たな定義の新発明とそれに直結した映像表現

見慣れたはずの映像が複数重複することで生まれる、これまで誰も見たことのない異様な映像体験。

 ②作品自体がパラドックスであり、伏線の塊

考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうなタイムパラドックスの酩酊感。正解は不明なのに、浮かび上がり、最後に心に残る金の砂粒。

 ③入り組んだ物語を分かった気にさせる様々な映画的技法

嘘の世界を現実と遜色ない体験とする、映画が持つ強い力。「なんでもCGで描ける」を越えた、説明でなく、心に投影される映像。

 いつになるか分からないが、もう一度見る機会を得た後、上記項目について詳しく書きたいと思う。

 

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