★★☆☆☆
~「政府も手が出せない国際メガバンク vs はぐれインターポール捜査官」~
2009年のアメリカ・ドイツ・イギリス共同制作映画。経済ドラマかと思わせて武器商人と化した巨大銀行とインターポール捜査官との戦いを描くアクションサスペンス。
インターポールの捜査官サリンジャーはドイツの巨大銀行IBBCの武器取引についての捜査を続け、ようやく証人との接触にこぎ着けるが、目前で仲間が不審死。証人もその9時間後に事故で死亡。現地警察はIBBC擁護の姿勢で手が届かない――。
それでも捜査を続けるサリンジャーはとうとう暗殺者の手がかりを手に入れ、ニューヨークへ――。
IBBC社屋や激しい銃撃戦の舞台となる美術館。インターポール本部にイスタンブールのモスク。世界中のロケーションが美しく映画に品格を与えている。緊迫した雰囲気は最初から最後まで続き、完成度の高さを感じるが、話としてはかなり苦しい。というか、スタローン主演のガンアクションくらいに捕らえた方が良い。画面の格式高さとアクション自体の頻度に勘違いしがちだが、中心はアクション映画。特にニューヨークのグッゲンハイム美術館内部を舞台とした銃撃戦を描くために全体が構成されているのではと思われる。そのために巨大なセットを組んだというのだから執念を感じる。
それ以外はどうにも小ぶりで、話が広がりそうで広がらない。すっきりしないまま話が進み、そのまま終幕。
また、多くの人が感じるのが題名と内容の剥離だろう。銀行というより国際マフィアの話なのだ。原題は「The International」でこれはこれで何やねんという題名でとらえどころがない。主人公はインターポール職員なので、普通に考えたら「インターポール」とか、「インターナショナル・クライム」くらいが似つかわしいと思うが、米独英の共同制作のしがらみがこのような中途半端な内容と題名に現れているのかもしれない。「国際捜査官サリンジャー」という題名でコピーが「政府も手が出せない国際メガバンク vs はぐれインターポール捜査官」でどうだろうか。
綺麗なシーンのいくつかは確実に心に残るので、経済クライムを期待せず気軽に見るのがおすすめ。
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